検証対象

🇮🇷#イラン、非軍事地域は一切攻撃せず イランの国際問題アナリストレザー・ナスリー氏が「我が国は民家や病院、学校、ユダヤ教寺院シナゴーク、パン屋、貯水槽、ジャーナリスト、救急車或いは幼稚園を攻撃しておらず、シオニスト政権イスラエルとは違う」と語りました。 #IranAttack #IranAttackIsrael
(※動画付き投稿)

ParsToday日本版公式アカウントのX投稿(2024年4月14日、約600リポスト)

判定

ミスリード

判定の基準について

この動画は2020年2月にシリアに対するトルコ軍の攻撃の様子として投稿されていて、2024年4月のイランによるイスラエルに対する攻撃ではない。

ファクトチェック

イラン国営放送のニュースアカウント

日本時間2024年4月13日から14日にかけて、イランはイスラエルに対し、ミサイルと無人機を使った攻撃を行った。イランはこれについて、イスラエルによるとみられる4月1日の在シリア・イラン大使館領事部への攻撃に対する報復だとしている(参照)。その後19日にはイラン国内で無人機攻撃とみられる爆発が発生し、イスラエルによる再報復の可能性が伝えられている

イランメディアParsToday日本版の公式Xアカウントは14日、夜間にミサイルとみられるものが連射される様子を映した24秒の動画を投稿アーカイブ)。「#IranAttack(イランの攻撃)」や「#IranAttackIsrael(イランがイスラエルを攻撃)」というハッシュタグが付けられており、13~14日にイランがイスラエルに対して行った報復攻撃の映像として投稿されているように受け取れる。

ParsTodayはイランの国営放送であるイラン・イスラム共和国放送(IRIB)が運営するニュースサイトだ。

なお、本稿ではイランが非軍事地域を一切攻撃していないとするParsTodayの主張については検証せず、動画の真偽についてのみ取り扱う。

2020年シリアで撮影

ParsTodayの投稿に先立つ2020年2月3日、トルコの日刊紙Daily SabahのXアカウントが、これと同じ映像でやや時間が長い30秒の動画を投稿している。投稿には英語で「トルコ軍がシリア北西イドリブ地域でアサド政権の攻撃に報復。映像は現地の情報源による」とあり、動画はシリアで撮影されたようだ。

DAILY SABAHのX投稿より。赤枠強調は筆者による

また、トルコのニュースサイトHaberler.comも同日にトルコ軍のシリア政府軍への攻撃としてこの動画を掲載している。

この時のシリアでのトルコ軍とシリア軍の衝突については、日本でもロイター通信などが報じている。

取材に回答無し

リトマスではParsTodayに対して、投稿の意図などを公式サイトのウェブフォームを通じて尋ねたが、こちらで設定した期限までに回答は得られなかった。回答があり次第本稿に追記する。

ParsTodayの投稿では、添付された動画が本文とどのように関連するのか明確には説明していない。しかしながら、投稿日に行われたイランによるイスラエルへの攻撃を撮影したとの誤解を与えることから、投稿は「ミスリード」であると判定する。

海外でも拡散

なお、同じ動画は海外でも拡散されていて、イランによる攻撃とするSNS投稿のほか、アメリカのCNNもイスラム組織ヒズボラがレバノンからイスラエルを攻撃する様子として放送している。これらについては、Misbarがファクトチェックしている。

また、2023年10月にはパレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによるロケット発射映像として拡散され、ケニアのPesaCheckがファクトチェックをしている。

(高倉佳子、大谷友也)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事を読んでよかった、役に立ったと思われた方は、ぜひ「ナットク」やシェアボタン(右下)をクリックして、サポーターになっていただけると嬉しいです。
記事で気になるところがありましたら、こちらからコメントください。
新しいファクトチェック記事のお知らせメールを希望する方はこちらで登録できます。