検証対象

スミソニアン博物館、数千の巨大骸骨を破壊したことを認める 同研究所は、1900年代初頭に数千の巨大な人骨を破壊したことを認めた。 米国最高裁判所はスミソニアン博物館に対し、数万に及ぶ巨大な人骨が全米で発見され、破壊されたことを示す大規模な歴史的証拠隠蔽に組織が関与したことを証明する1900年代初頭に遡る機密文書を公開するよう命じた。 当時存在していた人類進化の一般的な年表を守るよう高官らの命令で。
(※画像付き投稿)

一般ユーザーのX投稿(2023年12月11日、約1200RT)

判定

誤り

判定の基準について

「スミソニアン博物館が数千の巨大骸骨を破壊したことを認める」という情報は、英語の風刺サイトに掲載された内容と一致する。添付の画像はフォトショップコンテストに投稿されている。

ファクトチェック

スミソニアン博物館は、アメリカ・ワシントンD.C.にある博物館・美術館・研究機関など施設の総称である。

検証対象の投稿は、このスミソニアン博物館が1900年代初頭に全米で発見された数千(あるいは数万)の「巨大骸骨」を破壊し、その記録を隠蔽したと主張している。

内容は風刺サイトの記事と一致

この投稿文を裏付ける、信頼できる報道機関による情報は見つからない。

一方で、投稿文の内容は、風刺サイト「World News Daily Report」(以下WNDR)が2014年12月に掲載した英語の風刺記事と一致している。以下に記事の冒頭を抜粋する。

SMITHSONIAN ADMITS TO DESTRUCTION OF THOUSANDS OF GIANT HUMAN SKELETONS IN EARLY 1900′S
A US Supreme Court ruling has forced the Smithsonian institution to release classified papers dating from the early 1900′s that proves the organization was involved in a major historical cover up of evidence showing giants human remains in the tens of thousands had been uncovered all across America and were ordered to be destroyed by high level administrators to protect the mainstream chronology of human evolution at the time.(後略)
(※以下筆者訳)スミソニアン博物館、1900年代初頭の数千の巨大人骨の破壊を認める
米国最高裁判所の判決は、スミソニアン博物館に対し、アメリカ全土で数万の巨人の遺体が発見され、当時の人類進化の主流派の歴史を保護するために高官によって破壊を命じられたということを示す証拠の、大規模な歴史的隠蔽に同組織が関与していたことを証明する、1900年代初頭にさかのぼる機密文書を公開するよう命じた。

WNDR記事「SMITHSONIAN ADMITS TO DESTRUCTION OF THOUSANDS OF GIANT HUMAN SKELETONS IN EARLY 1900′S」より

ロシア国営ラジオ局の日本語版サイト「ロシアの声」(現スプートニク)は2014年12月、この記事を基に「スミソニアン博物館、巨人族の存在の証拠公開へ」と題する記事を掲載し、ねとらぼに「ウソ記事」と指摘されている。スプートニクに改名後の2015年3月にも、同様の記事が再び掲載されている。

しかし、WNDRは免責事項(Disclaimer)のページで、掲載記事がフィクションであるということをパロディ調で表明している。

WNDR assumes however all responsibility for the satirical nature of its articles and for the fictional nature of their content. All characters appearing in the articles in this website – even those based on real people – are entirely fictional and any resemblance between them and any persons, living, dead, or undead is purely a miracle.
(※以下筆者訳)しかしながら、WNDRは記事の風刺的性質とその内容のフィクション的性質に全ての責任を負います。このウェブサイトの記事に登場する全ての人物は(たとえ実在の人物に基づいていたとしても)完全に架空であり、生者・死者・アンデッドを問わず、それらといかなる人物との類似も全くの奇跡でしかありません。

WNDR「DISCLAIMER」より

画像はフォトショップコンテストへの投稿

WNDRの記事では別の画像が掲載されているが、検証対象の投稿に添付された画像には3人の人物、ショベルカー、そしてそれらに比べて巨大な人の頭蓋骨らしき物が映っている。

しかし、このショベルカーの部分は2011年に建材メーカーのサイトに掲載された画像と一致している。

左:Quad-Lock Building Systems社サイトより 右:投稿画像(部分)

また、投稿画像ではショベルカーの輪郭が不自然に白っぽい色になっており、別々の画像を合成したことが覗える。

さらに背景に比べて3人の人物の画質が良いこと、左下の地面の部分が同じパターンの繰り返しになっていることも、画像が加工されていることの根拠となる。

実はこの画像は元々、ロゴデザインのクラウドソーシングプラットフォーム「DesignCrowd」のコミュニティで開催されたフォトショップコンテストに投稿された作品である。コンテストのルールには、「In this contest you will create a hoax archaeological discovery, maybe Atlantis, a 2,000 year-old Coca-Cola can or a giant’s skull.」(このコンテストでは、アトランティス大陸、2000年前のコカ・コーラ缶、巨人の骨など、でっちあげの考古学的発見を作っていただきます)と書かれている。

以上のように、検証対象の投稿は文面は風刺サイトの内容と一致し、画像はフォトショップにより作られたものであることから、「誤り」と判定する。

なお、「スミソニアン博物館が巨人の存在の証拠を隠滅」という言説および画像については、2022年に海外で拡散した際、ロイター通信AP通信がファクトチェックしている。また、画像については日本ファクトチェックセンターがフォトショップ画像であると指摘している。

(高倉佳子、大谷友也)

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