検証対象

政府、マイナンバー「全口座ひも付け」義務化検討 来年の法改正目指す プライバシーを丸裸にする国民の監視・統制強化こそ最終目的。本性を出してきただけ。国会が自民党一強の今、やれるうちにやってしまおうということ。国民の声を聞く政治に変えないと、滅茶苦茶になる。
(※毎日新聞記事へのリンクを添付)

小沢一郎衆議院議員事務所公式アカウントのTwitter投稿(2022年10月14日、約4900RT)

判定

ミスリード

判定の基準について

「義務化検討」の記事は2020年5月のもの。政府は同年11月に既にこの案の見送りを決めている。

ファクトチェック

10月13日、政府は現在の健康保険証を2024年の秋に廃止しマイナンバーカードへ一体化する方針を発表。運転免許証との一体化も予定時期が早められるなど、マイナンバーの役割強化に向けた動きが進められている。こうした政府の動きに反発の声も広がる中、ネット上で拡散されているのが、政府がマイナンバーと銀行口座のひも付け義務化を検討しているという毎日新聞の記事だ。

 社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度について、政府は国民が開設する全ての預貯金口座情報とのひも付け(連結)を義務化する検討に入った。新型コロナウイルスで生活に困窮した人への現金給付を巡り、マイナンバーが機能しなかったことが背景にあり、来年の通常国会でマイナンバー法を含む共通番号制度関連法の改正を目指す。(後略)

政府、マイナンバー『全口座ひも付け』義務化検討 来年の法改正目指す」(毎日新聞、2020年5月31日)

検証対象に挙げた小沢一郎衆議院議員(立憲民主党)の事務所公式アカウントによる投稿の他にも、一般ユーザーのツイートが約2.2万RTを獲得するなど、記事は大きな話題になっている。

一般ユーザーのツイート(ぼかし加工は筆者による)

毎日新聞のこの記事は、過去にもたびたび話題になっている。今年8月22日には文筆家の山崎雅弘氏、ジャーナリストの清水潔氏といった著名人のほか、埼玉県労働組合連合会のアカウントも記事について言及し、約2900~4400RTを獲得するなど、大きく拡散された。

記事は2020年のもの

しかし、この記事は今から2年以上前の2020年5月31日に公開されたものだ。さらに、毎日新聞の続報によれば、義務化案は「時期尚早」と見なされ既に同年11月には見送りが決定されている。

 社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度について、政府は27日、預貯金口座情報とのひも付け(連結)義務化を見送る方針を固めた。義務化への抵抗感が根強い中、時期尚早だと判断した。国民の資産状況を正確に把握し、社会保障の給付と負担を適正化する制度本来の目的は、さらに遠のくことになる。(後略)

マイナンバー、口座ひも付け義務化見送りへ 時期尚早と判断」(毎日新聞、2020年11月27日)

当時の平井卓也マイナンバー制度担当大臣も、会見で次のように述べている。

(問)マイナンバーと預貯金口座の紐付けなんですけれども、一時期義務化をするという検討があったと思いますが、今回は義務化は見送って基本任意で進めるということでいいでしょうか。
(答)これはいろいろ前から議論があるんですが、まず個人の希望に沿ってやるということは基本的には変わっていません。
(問)義務化はしないということですか。
(答)国民に対して義務化はしません。

平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月27日」(内閣府)より

見送りの理由として平井氏は、義務化の実効性の問題などを挙げている

「撤回」でなく「見送り」とされている以上、今後この案が復活する可能性は完全には否定できない。しかし、現在に至るまでマイナンバーと銀行口座の連携はあくまで任意で行われており、政府はポイント付与などによって口座登録の促進を図るに留まっている(参照)。

小沢氏事務所は回答無し

「義務化検討」について今年になってから拡散されたツイートには、このような一連の経緯を十分に説明せず、あたかも「検討」が最近始まった、あるいは現在も続いているかのような誤解を与えているものも少なくない。上述した著名人らのツイートには後から記事の日付について補足したものもあるが(参照123)、小沢氏事務所のツイートでは本稿執筆現在、補足説明や訂正は行われていない。

リトマスでは小沢氏事務所に対し、記事の日付や続報の存在について認識していたかや、ツイートは小沢氏本人によるものかどうかなどを尋ねる取材文を送っているが、期限日までに回答は得られなかった。返答があり次第、本稿に追記する。

検証対象のツイートは、「義務化」の案が2年以上前に報じられたものであることや、既に見送りが発表されて少なくとも表面上は検討されていないということに触れず、案が最近報じられたものであるかのような誤解を招いていることから、「ミスリード」と判定する。

(大谷友也)

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