検証対象

「私は女性だ」と主張して、どーしても女子トイレに入ろうとして中を覗きたがるトランス女性と、娘が使用中の女子トイレにトランス女性を入れたくない母親のバトル😥 これは、ただ女装しただけの変態じゃないの⁉️🤔
（※動画付き投稿）

一般ユーザーのX（旧Twitter）投稿（2023年10月13日、約4000リポスト）

判定

判定の基準について

検証対象の動画はオリジナルの動画の一部を切り出したもの。元の動画では最後に芝居であることが説明されていて、実際に起きた揉め事ではない。

ファクトチェック

投稿に添付された1分29秒の動画では、少女とその母親らしき女性が公衆トイレに入ろうとしているところへ、投稿で「トランス女性」とされている人物も入ろうとし、母親がそれを止め口論になる様子が映っている。動画の途中では、声だけが聞こえる別の人物に男子トイレを使うように促された「トランス女性」が、「私は女性です（I’m a woman）」と返答する場面もある。

オリジナルは「お芝居」

この動画のオリジナルは2023年10月4日、Facebookに投稿された6分9秒のもの。タイトルは「娘を連れた母親が、男がトイレを使うのを止める（Mother with daughter stops man from using the bathroom）」とある。

検証対象の動画でカットされている本来のラストシーンでは、少女と母親は諦めて公衆トイレから立ち去り、代わりに「トランス女性」が中に入っていく。その後場面が切り替わり、出演者と動画制作者の4人が笑顔で並んで、以下のようなメッセージと共にこれは「芝居（skit）」だと明かす。

Hey guys, that was all a complete skit. Now tell us, what do you think about this subject here of a woman who identifies, ah, man who identifies a woman using the woman’s bathroom at a children’s park? What do you think about this subject here? We wanna hear what your opinions are, down below in the comment section. So go ahead and let us know how do you feel about the subject. Also make sure you go ahead and share the video. Because sharing the video will start a conversation with your friends. You can hear their thoughts. All right guys. Thank you so much. Peace out. 

（※以下、筆者訳）やあみんな、これは全部お芝居だ。さあ、この問題についてどう思うか教えてくれ。子供の公園で、女性を自認する男性が女子トイレを使うことについて。この問題についてどう思う？下のコメント欄で君の意見を聞かせてほしい。是非この問題を君がどう思うか教えてくれ。そして、この動画をシェアすることを忘れないで。動画をシェアすることで、友達との会話が始まるし、彼らの考えも聞けるからね。それじゃ、ご視聴ありがとう。またね。

オリジナル動画の5:33～の書き起こし

この説明があれば動画が実際の出来事でないことは明白だが、拡散した動画ではこの部分はカットされている。

投稿者であるJibrizy氏のFacebookページの自己紹介欄には「リアルに感じられるような、会話のネタになる動画を作る監督です（I’m a director making conversational topic videos that feel real.）」と書かれている。

また、この投稿者は2023年9月24日にも、今回と同じと見られる2人の人物が出演する動画を投稿している。こちらは飛行機の通路（他にも飛行機内を舞台にした動画が投稿されていることから実際はスタジオと思われる）で女性を自認する男性が女性と争いになるという内容で、同様に最後には芝居であることが明かされる。

検証対象の投稿では、やり取りが事実だと明言しているわけではないが、演技だとも説明されていない。本来の動画で明かされている重要な要素が欠落しているため、「ミスリード」と判定する。

今年9月には、同じくJibrizy氏が投稿した、教室に掲げられたレインボーフラッグ（性的マイノリティーへの連帯のシンボル）を保護者が引き剥がすという動画が海外で拡散された。これについても、AP通信とPolitiFactがあくまで芝居であると検証している。

（高倉佳子、大谷友也）