検証対象

エジプトに1500億円だって笑えるね。 右が日本の子供の給食。 泣けてくるよ。
(※画像付き投稿。「右」の画像は上図)

一般ユーザーのTwitter投稿(2023年5月1日、約2300RT)

判定

ミスリード

判定の基準について

これは大阪市で2020年に新型コロナの流行を背景に提供された一時的なメニューである。

ファクトチェック

ツイートでは、岸田文雄首相が4月30日にエジプトでシシ大統領と会談した際の様子と、「日本の子供の給食」とするパンと牛乳だけの簡素な食事の画像を並べて提示。日本からエジプトへの支援額の大きさを批判する意図で投稿されたもののようだ。

ツイートの「1500億円」が何を指すは不明だが、日本政府は30日にエジプトの地下鉄整備事業を対象とする円借款(上限1000億円)の供与を発表している

コロナ対応でメニューに制約

この給食は2020年6月1日に大阪市淀川区内のある中学校で実際に提供されたもので、ツイートと同じ画像が学校支援ボランティアのFacebookページに掲載されているのが確認できる。

「東三国中学校元気アップ事業」Facebook・2020年6月2日の投稿より

同じくパンと牛乳だけの給食の写真は、学校のブログにも掲載されている。

しかし、Facebook投稿で「2週間はパンと牛乳のみになります」と書かれていることからも分かるように、この学校はいつもこのような給食を出しているわけではない。また、簡素なメニューになった理由も金銭的なものではない。

背景にあるのは新型コロナウイルス感染症の流行だ。当時は感染の第1波が終息に向かってきた頃で、大阪市では2020年2月29日から行われていた市立学校の一斉臨時休校措置が5月31日をもって解除されていた

6月1日からしばらくは子供を午前と午後に分けて登校させる分散登校が行われ、給食も2回に分けて提供された(参照)。これにより、運用上の問題から通常のメニューを提供することが困難となり、中学校では調理が不要な簡易的なメニューで対応することになった。

※6月1日(月曜日)から6月12日(金曜日)まで、新型コロナウイルス感染症予防のため、大阪市立学校は分散登校を行っており、給食を2回に分けて提供しています。給食は、調理後2時間以内に提供しないといけないルールがあり、小学校は品数を減らすことで対応していますが、中学校は、小学校で作った給食を運ぶ時間が必要なため、調理後2時間以内に提供することが難しく、調理のいらないパン・牛乳と、可能であれば品数追加という対応をとっています。

 6月15日(月曜日)からは小学校・中学校ともに、通常の給食を提供します。

大阪市HP「大阪市の学校給食」(2020年6月1日、アーカイブ)より

厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、「調理後の食品は、調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましい」としている(p.6)。

2週間で通常メニューに

当時のメニュー表を見ると、6月1日から12日までの間、大阪市立の中学校の給食メニューはパンと牛乳、日によってアーモンドフィッシュやゼリーなどの副食1品という簡素なものとなっている。ツイートで写真を使われた淀川区内の中学校でも、12日まではこの特別メニューが提供されていたが、15日からは主食に複数の副食が付く通常のメニューに戻っているようだ。

大阪市立東三国中学校ブログ・2020年6月15日の投稿より

以上のように、検証対象ツイートの画像は日本の学校で実際に提供された給食ではあるものの、コロナ禍の特殊な状況が理由の一時的なメニューであり、金銭的な問題とは無関係である。「エジプトに1500億円」と対比させるのは不適切であり、「ミスリード」と判定する。

過去にも同様の拡散

2020年にも同様に、コロナ禍の状況での一時的な給食をそれと示さず批判したツイートが拡散されている。詳細は筆者によるInFactでの検証を参照(「大船怜」は筆者の別名義)。

(大谷友也)

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