検証対象

倉田真由美氏(漫画家)のTwitter投稿(2022年4月2日、約4400RT)

判定

ミスリード

判定の基準について

参照されている日本経済新聞の記事は、2020年3月1日のもの。WHOは「マスク着用不要」としていた指針を既に転換し、現在では無症状者に対してもマスクの使用を推奨している。

ファクトチェック

2022年4月2日に投稿されたこのツイートでは、日本経済新聞の「感染予防にマスク着用不要 過度の使用控えてとWHO」という見出しの記事(共同通信配信)が根拠とされている。

しかしこの日本経済新聞の記事が公開されたのは、新型コロナウイルス感染拡大初期の2020年3月1日である。

現在WHOは方針を転換

記事では、2020年2月29日までに世界保健機関(WHO)が、「せきやくしゃみといった症状がない人は予防目的で学校や駅、商業施設など公共の場でマスクを着用する必要はないとして、供給不足に拍車を掛けないためにも過度の使用を控えるよう呼び掛けた」としている。

この指針が転換されたのは2020年6月5日のことだ。WHOのテドロス事務局長は記者会見で以下のように述べている。

(前略)Third, WHO has also updated its guidance on the use of masks by the general public in areas with community transmission.

In light of evolving evidence, WHO advises that governments should encourage the general public to wear masks where there is widespread transmission and physical distancing is difficult, such as on public transport, in shops or in other confined or crowded environments. (後略)

第3に、WHOは感染地域における一般市民のマスク使用に関する指針も更新した。

新たな証拠を踏まえ、感染が広がっている地域では、公共交通機関、店舗、その他の狭い場所や混雑した環境などで、物理的に距離を置くことが困難な場合、政府は一般市民にマスクの着用を奨励するようWHOは勧告する。

2020年6月5日、WHO公式HP

WHOはこの指針を発表して以降、一般の人が世帯員以外の人と接する際には、鼻と口を覆うフィットしたマスクを着用するよう推奨している。

In settings where there is community or cluster transmission of SARS-CoV-2, irrespective of vaccination status or history of prior infection, wearing a well-fitting mask that covers the nose and mouth is recommended for the public when interacting with individuals who are not members of their household:(後略)

新型コロナウイルスの地域・集団感染がある環境では、ワクチン接種の有無や、過去の感染歴にかかわらず、一般の人が世帯員以外の人と接する際には、鼻と口を覆うフィット感の高いマスクを着用することが推奨される。

2022年1月5日更新、WHO公式HP

倉田氏は、日本経済新聞の記事が2020年のものと認識している趣旨の投稿をしている。情報検証JPでは、検証対象の投稿の意図について、Twitterのダイレクトメッセージで問い合わせたが、期限までに回答は得られなかった。

検証対象であるTwitterの投稿は、根拠としている日本経済新聞の記事が、最近公開されたものであるかのような誤った印象を与えていることから、「ミスリード」であると判定する。

(小俣杏香、大谷友也)

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