検証対象

水際対策の緩和 入国も困窮の外国人留学生に10万円支給決定 政府

NHK記事見出し(2022年3月10日)

判定

ミスリード

判定の基準について

政府による10万円支給の対象は、給付型奨学金の利用者や学校が推薦した学生などであって、留学生だけを対象にした政策ではない。またこの緊急給付金の事業は、水際対策が緩和された3月1日より前から実施されており、緩和に伴った措置でもない。

ファクトチェック

日本人学生も留学生も対象

2022年3月10日、NHK(アーカイブ)は「水際対策緩和 入国も困窮の外国人留学生に10万円支給決定 政府」という見出しで、以下の内容を掲載した。

水際対策の緩和に伴って入国した経済的に苦しい状況にある外国人留学生を支援しようと、政府は、1人当たり10万円を支給することを決めました。

(中略)

これを受け政府は、今月末までに入国して大学などに在籍している外国人留学生のうち、新型コロナの影響でアルバイトに就けず収入が得られないなど経済的に苦しい状況にある人に、1人当たり10万円を支給することを決めました。

また、感染の長期化などで、厳しい状況となった大学や大学院、専門学校などの学生についても、1人当たり10万円を支給する緊急給付金の申請を受け付けることにしています。

(後略)

文部科学省や自民党が否定

しかし、文部科学省の3月11日の発表によると「水際対策の緩和に伴い入国した外国人留学生のみを対象とした給付を行うという事実はない」。実際には、従来からある「学生等の学びを継続するための緊急給付金」の対象となる学生の推薦を、再度受け付けることが決定されたに過ぎない。

3月17日には、自民党も公式HPで「『留学生に10万円支給決定』は誤報」と同様の指摘をしている。

学生等の学びを継続するための緊急給付金」は、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況にある学生の学びを継続するために現金給付を行う事業で、2021年12月20日に開始。対象は「国公私立大学(大学院を含む)・短大・高専・専修学校専門課程、法務省告示に指定される日本語教育機関 ※留学生を含む」と指定されている。

この事業の対象となる学生の学校による推薦は、今回の報道以前にすでに2度募集が行われている。このうち第2次募集の対象者は、2021年9月30日までに入学または在籍している学生とされていた。しかし2022年1月以降に各地で実施されたまん延防止等重点措置に伴い、新たに2021年10月1日から2022年3月31日までの入学・在籍者を対象として、3月9日に第3次募集の受け付けが行われた。24日にはさらに追加募集も行われている。

水際対策の緩和により新たに入国する外国人留学生が、この給付金の対象となり得ることは事実だ。だが、NHKの記事は給付金の対象が留学生に限定されていないことに明確には触れていなかった。また、昨年に開始された枠組みであることにも言及していなかった。

以上のことから、「入国も困窮の外国人留学生に10万円支給決定 政府」という報道はミスリードであると判定した。

まとめサイト等も拡散

NHKが報じたことで、複数のTwitterユーザーが同情報を拡散している。例えば、まとめサイトの「Share News Japan」は、NHKの報道を元に記事を執筆しTwitterで発信した。この記事のツイートは、約8300RTを獲得している。

その他にも「何で日本国民にとって大事な事は『前向きに検討』したり『緊張感を持って対応』するだけなのに中国人留学生の10万支給は即決すんの?」とするツイートが約1.3万RTを獲得していた。

NHKは記事を修正

現在、NHKは記事の見出しを「経済的困窮の外国人留学生や日本の学生に10万円支給へ 政府」に修正している。本文も、「水際対策の緩和に伴って入国した外国人留学生や日本人の学生のうち経済的に苦しい状況にある人を支援しようと、政府は1人当たり10万円を支給することを決めました」との文言に変更している。一方で、記事を修正した旨は記載されていない。

(鳥尾祐太、小俣杏香)

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