検証対象

恐ろしい光景だ… ミャンマーの地震による死者数は1600人を超え、負傷者は3400人以上に上る – 新華社通信。
(※動画付き投稿)

一般ユーザーのX投稿(2025年3月30日、約2600リポスト)

判定

誤り

判定の基準について

この動画は生成AIで作成されたものである。

ファクトチェック

2025年3月28日、ミャンマーを震源とするマグニチュード7.7の地震により、ミャンマーや隣国タイなどで大きな被害が発生。2700人以上の死者が出たと伝えられている(参照)。

検証対象の投稿には、被災現場を空撮したような約11秒の動画が添付されている。そこには崩れた建物や散乱したがれき、地割れのように大きく穴が開いた道路などが映し出されている。

元はTikTok動画か

今回の地震では各地で建物の倒壊などが多数発生しているが、この動画と一致する光景の報道は無い。投稿者は中国の通信社・新華社通信の名を挙げているが、新華社通信もこの動画を報じた形跡は見つからない。

これと同じ動画はSNS上で海外を中心に複数のユーザーによって投稿されていて、その中には画面が上下に広く英語が字幕あるほか、左端にTikTokのロゴと「@the.360.report」というアカウント名が映っているものがある。

検証対象の投稿(左)と、別のユーザーによる投稿(右)

このことから、検証対象投稿の動画は元々TikTokに投稿された動画の中央部分を切り取ったものだと考えられる。なお、TikTokの動画は外部ツールを使うなどすればロゴやアカウント名を含めずに保存することが可能だ(参照)。

動画はAI生成

この「@the.360.report」というTikTokアカウントを見ると、問題の動画は既に削除されているようだが、他にも生成AIで作成したと思われる地割れや大穴、奇妙な生物などの動画が多数投稿されている。中には、動画内にRunwayHailuo AIといったAI動画生成ツールのロゴが表示されているものもある。

TikTokアカウント「@the.360.report」の投稿動画の一部

また、問題の動画も細部にAI生成動画特有の不自然さがある。オリジナルのTikTok動画に近いと思われる上下が広い方の動画を見ると特によく分かるが、カメラや遠方に映る火と煙などは動いているのに、手前側に映る人々は全く動いていない。

投稿動画の冒頭5秒と、その一部の拡大(※音声は削除してある)

こうしたことから、検証対象の動画は生成AIによって作成された架空の光景であり、「誤り」であると判定する。

今回のミャンマーの震災に関しては他にも複数のAI生成動画がSNS上で拡散されており、AAP通信BBCNHKなどで検証されている。

(大谷友也)

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