検証対象

AP通信は9日、北アフリカのモロッコで8日深夜(日本時間9日朝)に起きた大地震の映像を配信した。目前で建物が倒壊し、人々が悲鳴を上げながら逃げ惑う光景などが収められている。AP通信と提携するトルコのメディアdia imagesが配信したが、dia imagesは詳しい撮影場所などは明らかにしていない。
(※動画付き記事)

読売新聞オンライン記事「死者2000人超のモロッコ地震 目前で建物が倒壊、悲鳴、逃げ惑う人々」 (2023年9月9日)より

判定

誤り

判定の基準について

この映像は2020年、モロッコのカサブランカで構造上の問題により倒壊した建物の様子である。読売新聞は内容に「疑義が生じた」として記事を削除した。

ファクトチェック

2023年9月8日(日本時間9日)、モロッコ中部でマグニチュード6.8の地震が発生した。これまでに2900人以上が死亡したと伝えられている(参照)。

読売新聞は9日公開のオンライン記事(アーカイブ)で、この地震被害の様子とする動画を配信。動画は複数の被害映像から成り、このうちの最初のものは、カメラの前でまさに建物が倒壊する瞬間の映像だ。記事によれば、これらの映像はトルコのフォトエージェンシーdia imagesが配信したものだという。

過去の動画

しかし、この「建物倒壊」の映像は、実際には今回の地震とは関係が無い。

これと同じ映像の前後の場面も含めた動画は、約3年前の2020年8月にTwitter(現X)などのSNS上に投稿されていることが確認できる。

投稿と同日、モロッコの最大都市カサブランカで3階建ての住宅が倒壊する事故が発生。現地メディアは倒壊の瞬間を別角度で捉えた映像や、その後の現場の様子などを伝えている(参照12)。報道によれば、この建物は以前から老朽化による倒壊の可能性が指摘されていた。当局が住民に5日以内の避難を指示していたが、期限の前に倒壊し、住民1人が死亡したという。

カサブランカは今回の地震の震源からは北に300km近く離れていて、被害は比較的軽いとされている(参照)。

この映像は海外でもSNS上で拡散されていて、AFP通信ロイター通信などが同様の検証を行っている。

読売は記事を削除

リトマスが読売新聞に対し問題の記事と映像について問い合わせを行ったところ、グループ本社広報部より以下のような返答があった。

ご指摘を踏まえて調査したところ、疑義が生じたため、当該動画は削除しました。ありがとうございました。

記事は現在削除され、閲覧できない状態になっている。

(大谷友也)

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