検証対象
ウクライナは子供達を戦争に送っている。この子達は20歳にもなっていない。
一般ユーザーのTwitter投稿(2024年3月29日、約500RT)
(※動画付き投稿)
判定
この動画は軍事学校の生徒が演習場に向かう様子と見られ、直接戦場に向かっているわけではない。
ファクトチェック
検証対象の動画は約20秒で、3つの場面で構成されている。
場面①:迷彩服に防弾チョッキ、ニット帽を身に着けた少年たちがバスに乗っている動画。
場面②:迷彩服姿の女性の自撮り動画。後ろには停車した3台のバスと、少年たち(①と同じかは不明)が映っている。
場面③:②と同一人物らしき女性の自撮り画像(静止画)。背景にはトタン屋根や樹木が見える。
軍事学校のワッペン
場面①をよく見ると、前列の少年の腕に、青地に黄色や赤で図像が描かれたワッペンが見える。イタリアのオンラインメディアOpenは、これがウクライナのキーウ(キエフ)にあるイヴァン・ボフーン記念軍事学校のものであると指摘している。
同校のウェブサイトやFacebook投稿では、校長や生徒が肩にこれと同じワッペンを付けている様子が確認できる。
到着先は演習場か
さらに、ベルギーの公共放送局VRTは、場面②と③の背景について検証。同校のTikTokアカウントが2023年11月に投稿した動画の中で、場面②と同じデザインの白と青の塗装のバス(0:06~)や、場面③と似たトタン屋根の施設(0:09~)が映っていることを指摘している。バスの場面では、字幕に「演習場に向かう2時間前(За 2 години до виїзду на полігон:)」と表示されている。
場面③の背景は、同校のFacebookアカウントから2023年11月に投稿された画像とも特徴が一致している。
検証対象の投稿が行われた時点において、ウクライナでは18~27歳の男性に兵役の義務が課せられ(現在は上限が25歳までに引き下げられている)、27~60歳の男性から成る動員兵と18歳以上の志願兵が戦闘任務に就いている(参照)。
イヴァン・ボフーン記念軍事学校は8~9年生(13~15歳)が通う学校で、一般的な中等教育に加え、軍事的な知識とスキルを教えている(参照1、2)。同校の生徒は、兵役・戦闘任務ともに対象年齢ではない。
以上より、検証対象の動画に映るのは演習場に向かう軍事学校の生徒と考えられる。将来戦争に参加する人材を育成しているという意味では「戦争に送っている」という表現も完全な間違いとは言いにくいが、あたかもこのバスが直接戦場に向かう途上であるかのような誤解を与える可能性が大きいため、「ミスリード」と判定する。
同じ動画については、スペインのNewtralやMaldita、ウクライナのStopFake.orgなども検証している。
(高倉佳子、大谷友也)