検証対象

ウクライナ女性パイロット、ロシア軍に撃ち落とされ戦死。享年28歳。(※画像付き投稿)

一般ユーザーのTwitter投稿(2022年3月7日、約2500RT)

判定

誤り

判定の基準について

1枚目の画像はアメリカ空軍の女性パイロットのもの。2枚目の画像は、少なくとも2020年1月11日には存在していた。アラビア語のサイトに掲載されていたが、画像の女性がウクライナ軍のパイロットであることを示す証拠は見つからなかった。

ファクトチェック

2月に始まったロシア軍によるウクライナへの侵攻で、多数の兵士が命を落としたと伝えられている。こうしたなか、3月7日に「ウクライナ女性パイロット、ロシア軍に撃ち落とされ戦死。享年28歳」との情報が投稿された。

添付されたスクリーンショットには、戦闘機に乗った女性と軍服を着た女性の写真と共に「ウクライナ初の女性戦闘機パイロット、ナターシャ・ペラコフがロシアとの戦闘中に、28歳で死去(Natasha Perakov, Ukraine’s first female fighter pilot, died at the age of 28 during a battle with Russia)」と書かれている。

1枚目の画像はアメリカ空軍のパイロット 

しかし、いずれの画像もウクライナの女性パイロットのものではないとみられる。1枚目の画像に写っているのは、アメリカ空軍のパイロット、クリスティン・ウルフ(Kristin Wolfe)氏だ。

この画像は、2021年9月17日に開催された2021 Reno Air Racesで、アメリカ空軍のチームがショーを行った時の映像(動画:1分29秒が該当箇所)を切り取ったものだった。

(Youtubeより)

2枚目の画像がウクライナ軍パイロットとの証拠はない

2枚目の画像は、少なくとも2020年1月11日には存在していた画像だ。アラビア語のサイトに掲載されていたが、画像の女性がウクライナ軍のパイロットであることを示す証拠は見つからなかった。

(サイトのスクリーンショット)

ウクライナ初の女性戦闘機パイロットは別人

そもそも、「ナターシャ・ペラコフ(Natasha Perakov)」氏がウクライナ軍初の女性パイロットだという情報も誤りだ。共同通信ロサンゼルス・タイムズの報道によると、ウクライナ軍初の女性パイロットはナディア・サフチェンコ(Nadiya Savchenko)氏だ。

AFP通信によると、サフチェンコ氏は2014年にウクライナ東部でロシア国営テレビの記者2人が死亡した事件に関与したとして、ロシアで懲役刑となった。2016年に捕虜交換により解放され、現在はウクライナで政治家として活動している。ロシアによる侵攻が始まった後も、継続してFacebookで発信を続けている。

これらのことから、「戦死した28歳のウクライナ人女性パイロット」とされる投稿は誤りであると判定した。

類似情報は海外でも拡散

類似した情報は海外でも拡散している。海外で主に流れているのは、以下のような情報だ。

(Facebookより)

女性の写真と共に、「ウクライナ初の女性パイロット、ナターシャ・ペラコフ氏が今日死亡した(Natasha Perakov, Ukraine’s first female fighter pilot has died today)」とのコメントが投稿されている。

別の女性の写真が使われているが、ウクライナ初の女性パイロット「ナターシャ・ペラコフ」氏が死亡したとしている点は同じだ。

なお、この写真の女性はオレシア・ヴォロベイ(Olesia Vorobei)氏。2016年、ウクライナ軍で活動する女性を対象に行われた「ビューティーコンテスト」の優勝者だ。国防省のホームページにイベントの記事があるが、これによれば彼女は兵士だが、パイロットであるとの説明はない。

海外ではAFP Fact CheckUSA TODAYなどがファクトチェック記事を出している。

(鳥尾祐太)

※4月3日追記:ウクライナ空軍のTelegram公式アカウントは2日、「ウクライナ初の女性パイロット、ナタリア・ペラコワ氏が死亡した」とする情報は誤りであるとして否定する投稿を行った。上述の「ナターシャ・ペラコフ」とは名前がやや異なっているが、ネット上では類似した名前を使った複数のパターンの情報が拡散されていた。(追記部分文責:大谷友也)

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