検証対象

コロナ禍ん時の洗礼の様子なんだろうけどこれでいいのか
(※画像付き投稿)

一般ユーザーのTwitter投稿(2024年3月26日、約4800RT)

判定

誤り

判定の基準について

この画像は加工されていて、元画像では神父はもっと小さい水鉄砲を構えており水が出ている様子も見えない。元々はジョークとして撮られた写真であり、本当に水鉄砲を使って洗礼をしたわけではない。

ファクトチェック

洗礼とはキリスト教で入信の際に行う儀式で、宗派によって聖水を頭にかける、全身を水に浸すなどいくつかの方式がある。出生時に行われる洗礼は幼児洗礼と呼ばれる。

検証対象の投稿画像では、聖職者らしき人物が大型の水鉄砲を使い幼児に勢いよく水を噴射しているように見える。

加工された画像

しかし、これは加工された画像だ。元の画像は2020年5月頃に海外で話題になったようで、大元の出典は確認できないものの、アメリカ・テネシー州マンチェスターにある聖マルコ・カトリック教会のFacebookアカウントが同月に転載しているものが確認できる。

見比べると、元の画像では水鉄砲はハンドガン型の小型のもので、水も出ていないように見える。

左:聖マルコ・カトリック教会の投稿画像より 右:検証対象の投稿より

元はジョークでポーズを取っただけ

聖マルコ・カトリック教会の投稿では、この写真が撮られた経緯が次のように説明されている。

Saint Mark’s Facebook page is posting this to clarify the photo that has gone viral as we have been receiving inquiries about it. It has garnered almost a million views in Twitter, has been in the news in several websites and memes. It had good and controversial comments.
This is what Fr. Steve said about this: 1) The family had requested for him to do this pose as copied from several posts of priests circulating around the internet. He agreed because he thought it was funny. 2) The water in the water gun is not holy water and was squirted towards the dad and not the baby for humor impact. Bottom line, it was meant to be for fun.
(筆者訳:この写真について私たちは問い合わせを受けているので、聖マルコ協会のFacebookページでは、拡散された写真について説明するためこの投稿をします。この写真はTwitterで100万回近いビューを獲得し、いくつかのウェブサイトでのニュースやミームになりました。かなり物議を醸すようなコメントもありました。
スティーブ神父はこれについて次のように述べています。1)この家族は、ネット上に出回っている司祭のいくつかの投稿を真似たこのポーズを取るよう彼に頼みました。彼はそれを面白いと思ったため、同意しました。2)水鉄砲の水は聖水ではなく、ユーモラスなインパクトのために、赤ん坊ではなく父親に向かって噴射されました。要するに、それは面白さを意図したものでした。)

聖マルコ・カトリック教会のFacebook投稿(2020年5月26日)

あくまでジョークとしてポーズを取っただけで、この子供の洗礼が本当に水鉄砲を使って行われたわけではないということである。

カトリック系ニュースサイトCatholic News Agencyの取材によれば、水鉄砲を持っているのはスティーブン・クラセク神父で、聖マルコ・カトリック教会に加え、タラホーマにある聖パウロ・カトリック教会を担当している。アメリカのファクトチェックサイトSnopesの取材によれば、写真が撮られたのはこの聖パウロ・カトリック教会の方だという(同じような背景の写真が教会のウェブサイトに掲載されている)。なお、Snopesでは改変されていない写真を検証したため判定結果は「True(事実)」となっている。

地元紙The Tullahoma Newsの記事には、母親へのインタビューや、ジョーク写真を撮る前に実際に行われた正式な洗礼の写真などが掲載されている。

2020年4月には、ミネソタ州ノーウッドヤングアメリカで撮られた同じような写真が話題になっており、クラセク神父が真似た「ネット上に出回っている司祭」とはこれを指していると思われる。ただし、こちらもあくまでジョークであり、正式な洗礼はこの写真を撮る前に家族の自宅で行われたという。

また、5月にはミシガン州デトロイトで新型コロナウイルス対策として水鉄砲を使って聖水を発射する司祭が話題になった。これは洗礼ではなく、イースター(復活祭)の伝統であるフードバスケットの祝福だ。

検証対象の投稿は、元の写真が大幅に改変されていること、元々もあくまでジョークであって実際の洗礼ではないことから、「誤り」と判定する。

(大谷友也)

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