検証対象

【速報】国連、日本を「先進国」から「上位中所得国」へ格下げ ジャップ最後のプライド、散る 失われた30年でついに先進国脱落 2000年初頭は世界2位のGDPがたった10年のアベノミクスで世界40位まで落ちる
一般ユーザーのTwitter投稿(2023年3月5日、約9400RT)
(※画像付き投稿)
判定

「上位中所得国」とは世界銀行が定めた国の分類の一つで、GDPではなく1人あたりのGNIによって定義されている。日本は現在も「高所得国」に含まれ、「上位中所得国」ではない。
ファクトチェック
ツイートでは、「2023年一人当たりGDP予想、購買力調整済み、IMF」と題するグラフが添付され、国際連合(国連)が日本を「先進国」から「上位中所得国」へと格下げしたと主張されている。
同様の主張は、実業家の宋文洲氏や、元総務大臣で衆議院議員(立憲民主党)の原口一博氏なども行っている。
グラフの出典
このグラフは、元々は金融アナリスト・経営者のデービッド・アトキンソン氏が2月11日に投稿したもの。国連の専門機関の一つ、国際通貨基金(IMF)による、各国の2023年の1人あたりGDPの予想を基に作成されている。
このグラフの元データである予想値(2022年10月発表)は、IMFのサイト上で見ることができる。日本の2023年の1人あたりGDP予想値(購買力調整済み)は51590ドル。先進国平均の65280ドルを下回り、データがある192の国と地域の中で38位となっている。2022年の予想値(2021年10月発表、キャッシュ)では33位だったため、それよりも順位は低下している。

アトキンソン氏が「30位から36位」としている理由は不明だが、具体的な順位以外の点に関してはIMFのデータ通りの情報だと言える。
日本は一貫して「高所得国」
しかし、アトキンソン氏の元のツイートには、「国連が日本を『先進国』から『上位中所得国』へ格下げした」というようなことは書かれていない。これは、氏のグラフが転載されるうちに追加された誤った情報だ。
IMFは日本を「先進国(Advanced Economies)」および「主要先進国(Major Advanced Economies、G7)」の一つに分類している。
また、「上位中所得国(upper middle-income economies)」というのはIMFではなく、同じく国連の専門機関の一つである世界銀行が定義している用語だ。そして、その基準はGDPではなく国民総所得(GNI)である。
最新の2023年度の基準では、2021年の1人あたりのGNI(世界銀行アトラス方式で算出)が1085ドル以下の国や地域が「低所得国」、1086~4255ドルが「下位中所得国」、4256~13205ドルが「上位中所得国」、13205ドル以上が「高所得国」という分類になっている(ちょうど13205ドルの場合が曖昧なのは原文ママ)。
日本の1人あたりGNIは2021年に42650ドルと、高所得国の基準を大幅に超えている。また、この分類が始まった1987年以来、日本は一貫して高所得国の一員である(このページ内のリンク「historical classification by income in XLSX format」参照)。

以上のことから、国連が日本を「先進国」から「上位中所得国」へ格下げしたというのは「誤り」である。
(大谷友也)