検証対象

以前の選挙で「安倍辞めろ」というプラカードを掲げてた人たちを警察が排除したということが訴訟になって、結局警察は負けたんですね。そのこともあって、警察が思うように警備ができなくなったという背景もあるので….

宮崎謙介氏(元衆議院議員)の発言(2022年7月10日、TBS系列「サンデージャポン」VTRにて)

判定

根拠不十分

判定の基準について

札幌地裁は、ヤジを飛ばした原告らに対する警察官らの排除・付きまとい行為を違法と判断したが、演説車両へ向かって走って近付いた男性を制止したことについては適法と認めている。

ファクトチェック

ネット上に同様の主張

2022年7月8日に安倍晋三元首相が演説中に銃撃され死亡する事件が起きた後、ネット上では同年3月に札幌地方裁判所で下された判決が原因で「演説中に誰かが接近しても警察は排除出来なく」なっていたなどとする主張が拡散された。

地裁の判決では、2019年に演説中の安倍氏にヤジを飛ばした原告の男女を警察が排除した行為、およびその後女性に長時間付きまとった行為が違法とされた。しかし、男性が安倍氏の演説する車両に走って接近するのを警察が制止した行為は適法と判断されており、したがってこの判決が今回の安倍氏銃撃に影響したとする主張は「根拠不十分」である。これについての詳細は、リトマスの先日の記事を参照されたい。

宮崎氏の発言もこれと同様で、訴訟の影響で「警察が思うように警備ができなくなった」という主張の根拠は十分とは言えない。

また、「『安倍辞めろ』というプラカードを掲げてた人たちを警察が排除したということが訴訟になって」という説明にも複数の誤りがある。まず、札幌の訴訟における原告は上述の通りヤジを飛ばすなどした2人であり、プラカードで抗議していたのは原告ではない別の女性だ。この女性はプラカードを掲げようとした段階で警察に止められていて、その内容も年金問題に関するもの。「安倍辞めろ」は原告男性が飛ばしたヤジでの言葉である。詳細は当時のニュース映像地裁判決文を参照。

関係者も否定

HBC北海道放送の取材によれば、北海道警察はこの地裁判決後も選挙演説の警備体制は変更しておらず、警察庁警備局の幹部もJNNの取材に「判決の影響があったとは考えていない」とコメントしているという。

弁護士で元警察官僚の澤井康生氏も、「ヤジ排除事件判決の影響で現場の警察官が特に委縮していたということはないと思います」との見解を示している

取材に返答無し

宮崎氏の発言はどのような根拠に基づくものなのか、リトマスではメールを通じて取材を申し込んだが、回答期限までに返答は無かった。また、番組を放送したTBSに対しても判決内容を確認しているかや今後の訂正の有無を尋ねたが、こちらも返答は得られていない。返答があり次第本稿に追記する。

(大谷友也)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事を読んでよかった、役に立ったと思われた方は、ぜひ「ナットク」やシェアボタン(右下)をクリックして、サポートをしていただければ幸いです。
リトマスのファクトチェック方針はこちらです。
気になるところがありましたら、遠慮なくコメントください。