検証対象

すげぇ。自民党東京選挙区候補者の朝日健太郎、めっちゃ仕事してないじゃん(笑)

(※画像付き投稿)

一般ユーザーのTwitter投稿(2022年6月27日、約4700RT)

判定

ミスリード

判定の基準について

朝日氏は参議院の委員会や各種会議、衆議院で約50回発言している。

ファクトチェック

2022年の参議院議員選挙に立候補している自民党の朝日健太郎氏は、2016年から6年間参議院議員を務めている。検証対象のツイートは、朝日氏の「本会議発言統計」が全て「0回」であることを元に「仕事してない」と批判している。

6月28日には、立憲民主党の参議院議員・蓮舫氏もこのツイートを引用し、「国会での仕事は委員会での質問、本会議での討論を通じて行われます。 0って…」と述べている

委員会や各種会議等で発言

この統計の出典は、政治学者の菅原琢氏が運営し、国会議員の活動などをまとめているウェブサイト「国会議員白書」だ。 朝日氏のページでは、確かに参議院本会議での発言回数が6年間を通じて0回であることが記されている。

しかし、参議院議員の国会での仕事は本会議だけではない。上記のページには朝日氏の各種の委員会での活動もまとめられており、在籍時通算発言数は29回とされている。

朝日氏の参議院・委員会での発言数(「国会議員白書」より)

また、別のページには、調査会などの各種会議でも7回発言したことが記載されている。

さらに、朝日氏は2020~21年に国土交通大臣政務官を務めているため、参議院だけでなく衆議院でも政府側として答弁を行っている。

これらを合わせると、朝日氏が議員や政府の一員として国会で発言した回数は少なくとも計49回に上る。このことは、国立国会図書館による「国会会議録検索システム」からも確認できる。

朝日氏の国会での全発言数(「国会会議録検索システム」より)

「本会議で0回」の他の議員は?

では、この「本会議で発言0回、国会全体で49回」という数字はどの程度特異と言えるのか。朝日氏と同じ2016〜19年2019〜22年に在職していた参議院議員のデータを見てみよう。

なお、以下のデータは本稿執筆時点での「国会議員白書」および「国会会議録検索システム」の記録に基づいている。反映にはタイムラグがあり、直近の発言はまだ記録されていない可能性がある。

2016〜19年に参院本会議での発言数が0回だったのは243人中56人、2019〜22年は254人中67人(任期途中の辞職等により入れ替わった議員もいるため、それぞれ総人数は議員定数と一致しない)。2016〜22年の6年間で0回なのは、朝日氏を含め11人だ(23期以前に発言のある議員を含む)。

この11人を政党別に見ると、自民9人、公明1人、無所属1人と、与党議員が目立つ。ただし、これには、与党は野党よりも議員数が多いが、質問時間は少なめの割合で配分されるのが通例になっているという事情も関係している可能性がある(参照)。

いずれにせよ、11人いずれも委員会・各種会議・衆議院のいずれかでは発言しており、議員としての「仕事」を全くしていないということはない。

2016〜22年に参議院本会議で発言数0回だった議員。「国会議員白書」および「国会会議録検索システム」を元に筆者作成。なお、藤木氏の委員会発言数は前者のデータでは何らかの理由で3回分が欠落しているため、後者に基づく数字を記載した

議員が国会で十分な仕事をしているかどうかの評価は、判断する個人によって異なっても当然だ。しかし、検証対象のツイートでは、この判断の元となる事実を一部のみ切り取って伝えており、「ミスリード」であると言える。

(大谷友也)

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