(※2025年12月30日:一部の記述を修正しました。詳細はこちら)
検証対象


日本を食い潰す中国人、”保険未加入なのに差別だ”と提訴する厚顔無恥
一般ユーザーのX投稿(2025年12月21日、約5200リポスト)
(※動画付き投稿)
判定

この女性が病院を提訴したのは、保険が適用されなかったからではなく、請求された医療費が無保険の日本人の3倍にあたると主張しているからである。
ファクトチェック
検証対象の投稿に添付された動画は、「日本を食い潰す中国人、”保険未加入なのに差別だ”と提訴する厚顔無恥」と題する約1分3秒のもの。動画では、ニュースの映像などを使いながら、「国民保険にも加入せず自己責任を放棄しておきながら保険適用されないのは差別だと訴える始末」などとする自動音声と字幕が流れる。
また、この動画を引用し「保険未加入の中国人は医療費10割負担でいい」などとするX投稿(下図)も、約7900リポストを獲得している。

「医療費10割」は支払い済み、提訴は3倍請求に対するもの
動画に映る女性が、差別を訴えて訴訟を起こしたのは事実だ。しかし、その理由は「保険適用されない」ことではない。
動画で使われたニュース映像は、大阪の毎日放送(MBS)による2025年9月のもの。MBSの報道によれば、この女性は2022年に大阪府吹田市の国立循環器病研究センターに入院してその後死亡した中国人女性の娘である。訴状などによると、母親は当時、健康保険に入っていないため、無保険の日本人の3倍にあたる約675万円の医療費を請求されたという(ただし、後述するように、無保険の日本人の医療費について病院側の説明はこれと異なる)。娘である動画の女性は、「国籍を理由に高額な診療費用を請求することは不合理な差別」だとして、支払い済みの医療費との差額約450万円の支払い免除を求め、病院を提訴した。
この提訴については、読売新聞や週刊金曜日オンラインなどでも報じられている。それらによれば、無保険の日本人と同等と原告が主張する「医療費10割」にあたる約225万円については、娘は既に支払いを終えている。また、動画の女性(娘)は日本国籍を取得している。
つまり、検証対象の投稿は、動画の女性を「中国人」としている点と、提訴理由を「保険適用されない」ことのように述べている点において誤りを含んでいる。実際にはこの女性は日本国籍を持っており、「中国人」ではない。また、日本人が保険未適用の場合に払うのと同等と原告がみなす額の支払いには応じており、その3倍の請求について「差別」として提訴している。
女性が中国人である母親に対する差別を訴えたという点は正しいものの、全体として正確性が欠如しているため、検証対象の投稿は「不正確」と判定する。
外国人診療価格は医療機関の裁量
海外在住者など、日本の医療保険に加入していない人が日本で医療機関を受診する場合、保険が適用されず自由診療となるため、請求額は各医療機関の裁量によって決まる。外国人患者の受け入れには、言語対応やハード・ソフト面の整備など多くの体制整備が必要とされることから、保健医療の公定価格である1点10円よりも高い診療価格を設定する医療機関もある(参照:厚生労働省「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」(p.49~)、「訪日外国人の診療価格算定方法マニュアル」)。
今回提訴された国立循環器病研究センターは、保険未加入の外国人患者に対し「診療報酬点数1点につき30円」という価格設定をサイト上に記載している。これは、日本人が無保険(10割負担)の場合に払う額と原告が主張する1点10円の3倍にあたる。ただし、サイトには「日本国籍をお持ちの場合であっても海外在住者は同様です」との記載もあり、日本人であっても無保険の場合の医療費は外国人と同じ1点30円だとされている。この記載は提訴前には見られないため、提訴を受けて追加された可能性もある。
(大谷友也)






