検証対象

公園の使用許可が出ていないのに、 勝手にお祭りをするクルド人。 和を以て貴しと為す🇯🇵 郷に入っては郷に従え🇯🇵 が出来ないから嫌なのよね。
(※動画付き投稿)

一般ユーザーのX投稿(2024年8月15日、約4000リポスト)

判定

誤り

判定の基準について

この祭りには公園の使用許可が出ている。また、添付の動画はニュース映像を加工したものである。

ファクトチェック

検証対象の投稿の内容

検証対象の投稿は、ニュース映像の一部とみられる約5秒の動画とともに、クルド人が公園の使用許可を得ずに祭りを開催したと主張している。なお、投稿は本稿執筆時点で削除されている。

投稿の文章と動画内容が矛盾

検証対象の動画には出店でケバブが提供されている様子が映っている。

この動画の上部には、「無許可で公演(※原文ママ。「公園」の誤りと思われる)を占拠使用」というピンク色の文字が表示され、この文字は、動画右上の「一部市民の抗議も 在日クルド人 新年祝う祭り開催」というテロップの上に重ねて表示されている。このことから、動画上部の文字は元の映像に加えられたものであることが分かる。

重ねられた文字

一方、この動画の下部には、公園の管理協会の対応として、2つのテロップが順に表示されている。1つ目のテロップは、「当初『安全の確保が難しい』→使用を不許可」というものだ。

投稿された動画0:01時点のキャプチャー

2つ目のテロップは、「クルド人支援団体と協議重ね条件付きで開催許可」というものである。つまり、動画下部のテロップによると、公園の管理協会は祭りの開催を許可している。

投稿された動画0:02時点のキャプチャー

検証対象の投稿は、公園の使用許可を得ずにクルド人が祭りを行っていると主張している。動画上部の文字はこの主張に沿ったものだ。しかし、動画下部のテロップでは、祭りの開催が許可されるという内容となっている。つまり、投稿の文面および動画上部の文字と動画下部のテロップの内容は矛盾している。

動画はニュース映像を加工

検証対象の動画は、「日テレNEWS NNN」の記事に掲載されている映像の一部と一致する。

この記事では、クルド人の新年を祝う「ネウロズ」という祭りが、さいたま市の公園で、3月20日に開催されたことが伝えられている(クルド人の新年は3月21日にあたる)。また、祭りの開催については一部の市民から公園を管理する埼玉県公園緑地協会に、抗議の電話が相次いだと報じられている。そのため、当初は「安全の確保が難しい」として公園の使用許可が出なかったという。その後、協会とクルド人を支援する団体が協議を重ね、条件付きで開催が許されたとのことだ。

この祭りについては、読売新聞も「不許可は集会の自由の侵害に当たる恐れがあり、同協会側は当初の対応は誤りだったとしたうえで、今月5日、音楽の音量に制限を設けて利用を認めた」と3月21日に報じている

また、検証対象の投稿については、日本ファクトチェックセンターが8月20日付けの記事で、誤りと判定している。

管理者は祭りを許可

リトマスは、祭りが開催された秋ヶ瀬公園の使用許可について、公園を管理する埼玉県公園緑地協会に8月19日に取材を申し込んだ。協会からは8月20日に回答を得ている。この回答で協会は、条件付きで公園の使用許可を出したことを認めた(質問と使用条件が書かれた回答全文は後述)。

検証対象の動画で紹介されている祭りには会場となった公園の使用許可が出ている。また、検証対象の動画はニュース映像を加工したものである。よって、検証対象の投稿を「誤り」と判定する。

取材回答全文

以下に、リトマスの取材に対する埼玉県公園緑地協会の回答を全文掲載する。

①報道によれば、楽器の音量を制限するなどの条件付きで公園の使用許可を出したとあるが、事実と相違ないか。

Ans:事実でございます。県都市公園条例で、許可をする場合において、必要があるときは条件を付すことができるとされています。なお、許可条件は、必要に応じて見直していくことも考えられるので、今後、同様な申請があった場合に、同じ条件になるとは限らないものです。

②使用許可にあたっての条件が他にもあったら教えていただきたい。

Ans:昨年度は以下の条件を付しました。

1 申請をした内容(時間、場所等)を必ず守ること。(準備、撤収も時間に含む。)

2 許可を受けていない場所の利用、立入をしないこと。

3 申請者は、事件、事故、トラブル、苦情、その他公序良俗に反する行為を生じさせないよう注意し、これを生じさせた場合は、申請者で責任を持って対処すること。施設管理者の責めに帰することができない事由により、施設管理者又は第三者に損害が生じた場合は、申請者はその損害を賠償する責任を負う。

4 利用後は必ず原状回復をし、ゴミは全て持ち帰ること。設備、備品等を毀損、汚損した場合はこれを修理し、もしくはその損害を賠償すること。

5 必要な鍵は、秋ヶ瀬公園管理事務所で借用し、紛失等した場合は鍵交換に要する損害を賠償すること。

6 音、振動、臭気の発生等により周囲、近隣に迷惑を及ぼす行為をしないこと。

7 電気、ガス、水道等を使用する場合は、施設管理者と事前に協議すること。内容に応じて、実費相当額を負担すること。

8 官公署等へ届出又は許可を必要とする場合は、申請者において届出又は許可を受けること。

9 国際テロリストの支援につながるか否かに関わらず、違法行為又は暴力的行為及びそれらを助長する行為(助長することを目的とする募金を含むがこれに限らない)を行わないこと。

10 音出し(楽器演奏、歌唱、放送等の一切を含む)の音量については、原則として許可を受けた場所の境界内側で80dB(デシベル)以下とすること。ただし、80dB(デシベル)以下であったとしても、苦情等があった場合は、直ちに音量を下げること。

11 音量等の苦情に対して、施設管理者の指示に従わない場合は、直ちに許可を取り消し、貸出しを中止する場合がある。

12 開催にあたっては、混乱が生じることのないよう、主催者や責任者が自ら許可範囲を巡回し、許可条件に反することがないよう監視するとともに、会場案内やゴミの散乱防止、喫煙禁止の呼びかけや混乱が生じた場合に迅速に対処できるだけの人員による自主警備を配備すること。

13 その他施設管理者からの指示があった場合は、それに従うこと。

14 上記について施設管理者が不適切と判断した場合には、申請者に対し直ちに改善を求める。それでも事態の改善がなされないときは、施設管理者は使用停止を含めた必要な措置を講じることがある。

(高倉佳子、小嶋裕一、大谷友也)

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