検証対象

信じられない判決がオランダで下されました😡 幼い少女の命を奪った移民の男に対し、裁判官が言い渡したのはたった「120時間の地域奉仕」だけ。 懲役でもなく、罰金でもなく、たったのボランティアです。 これを聞いた少女の父親は、怒りを抑えきれず裁判官に向かって椅子を投げつけました💥 その映像が広まり、世界中から怒りの声が噴出しています。 一部始終を見た人々からは 「こんな裁判官こそ職を追われるべきだ」 「正義が死んだ」 と怒号が飛び交い、ネットは大炎上。 人の命よりも、裁判所の“正しさごっこ”が優先されるこの現実…. いま、オランダだけでなく、ヨーロッパ全体の司法のあり方が問われています😡
(※動画付き投稿)

一般ユーザーのX投稿(2025年12月6日、約1.1万リポスト)

判定

ミスリード

判定の基準について

この裁判は最近ではなく、2014年11月に行われた。被告はその後控訴審で懲役15カ月および免許停止4年の判決を受け、刑が確定している。

ファクトチェック

検証対象の投稿内容は、オランダの法廷で、幼い少女の命を奪った移民の男に120時間の地域奉仕という軽い判決が下され、怒った少女の父親が裁判官に椅子を投げたというものだ。添付された動画では、裁判官が判決を下す場面(日本語字幕付き)に続いて大きな物音が聞こえ、直後に強制的に退廷させられる男性の姿が映っている。

裁判は11年前

これはオランダで実際に起きた出来事であり、投稿の文章に明確に誤った内容が含まれているわけではない。しかし、いくつかの重要な事実の説明が抜けており、結果として誤解を招くものとなっている。

まず、この裁判は最近ではなく、2014年11月に行われたものである。詳細については現地オランダのメディアで報じられており、父親が椅子を投げる元動画(字幕無し)も見ることができる(参照12)。

投稿者はこれがいつの出来事か明言しておらず、かつ「いま、オランダだけでなく、ヨーロッパ全体の司法のあり方が問われています」とあたかも最近であるかのように示唆しているが、実際は投稿時点で約11年前のことになる。

自動車事故についての地裁判決

また、投稿には「幼い少女の命を奪った」と書かれていて、被告が殺人事件を起こしたかのようにも読めるが、実際は裁判は自動車事故に関するものだ。報道(上述)や、実際の判決文から、事故と裁判の経緯を見てみよう。

2013年5月、オランダ南東部の街メイエルで、2歳の少女とその祖父母の計3人が車にはねられて死亡する事故が発生。車の運転手であるポーランド人の男が起訴され、裁判で検察は懲役15カ月と運転免許停止4年を求刑した。2014年11月、リンブルフ地方裁判所ルールモント支部の判決では、120時間の社会奉仕活動および1年間の免許停止の処分(保護観察2年)が被告に言い渡された。判決に怒った少女の父親は裁判官に向かって椅子を投げつけ、退廷させられた。椅子は裁判官の前に落ち、当たることはなかった。

判決については、国会議員らが批判し、ネット上の署名運動が行われるなど、反発が相次いだ(参照12)。

こうした反発を受け、地裁は判決当日のうちにこの判決に関する疑問に答える文章をサイト上に掲載した。これによれば、事故の時に被告の車は時速76~124kmで運転されていたと推定され、制限速度の時速80kmを大幅に超過していたとは立証されなかった。また、飲酒や薬物、携帯電話の使用なども無いとされた。このため、重大な過失が要件となる重い罪には該当せず、交通上の危険を引き起こして被害者を死亡させたことの罪のみが認められた。

控訴審で懲役15カ月判決・確定

しかし、この120時間の社会奉仕などの刑はあくまで一審の地裁判決であり、これがそのまま確定したわけではない。検察の控訴により、その後控訴審が行われている。

2015年9月、二審のスヘルトーヘンボス控訴裁判所は、被告の運転手に対し懲役15カ月と免許停止4年の判決を下した(判決文裁判所の説明)。新たな調査や証言などを基に、被告の車は制限速度を超過していたと判断され、一審で認められなかった重大な過失による罪が認められることとなった。

この二審判決はその後確定し、運転手はイギリスにいたところを逮捕されオランダへ送還された(参考)。

投稿はミスリード

検証対象の投稿に書かれているように、当初被告には120時間の社会奉仕などが言い渡され、懲役刑とならなかったのは事実だ。しかし、これはあくまで約11年前の一審判決である。その後の控訴審では15カ月の懲役刑などが言い渡され、この判決が確定している。検証対象の投稿はこうした重要な情報を欠いているため、「ミスリード」であると判定する。

(大谷友也)

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