検証対象
バレた!彼女はイヤホンイヤリングをつけている NOVA H1 オーディオ イヤリング – 金メッキまたは銀メッキのクリップに真珠のイヤリングが埋め込まれた、初めてで唯一のワイヤレス イヤホンです。彼女のイヤリングを見て!バレちゃった!
藤原直哉氏(経済アナリスト)のX投稿(投稿日:2024年9月11日、2024年10月9日時点で約500リポスト)
(※海外ユーザーの画像付き投稿を引用)
判定
ハリス氏が討論会で着用していたアクセサリーは、「NOVA H1」とは形状が異なる。また、製造会社もハリス氏のアクセサリーは「NOVA H1」ではないと説明している。
ファクトチェック
イヤリング型イヤホンを着けたと主張
検証対象の投稿は、2024年11月のアメリカ大統領選挙に向けて行われた9月10日(現地時間)のテレビ討論会で、民主党のカマラ・ハリス副大統領が、「NOVA H1」というイヤリング型イヤホンを使用したと主張している。討論会を主催したABCテレビでは、登壇者が討論中に登壇者や司会者以外の人物とやりとりすることを禁じている。つまり、投稿はハリス氏が討論会の規則に違反したと示唆している。
形状が異なる
しかし、ハリス氏が討論会で着用したアクセサリーは、よく見ると「NOVA H1」と形状が異なっている。ハリス氏のアクセサリーは、金色の細い棒が真珠をぐるりと囲むような形をしている。
アメリカ大統領選の討論会に登壇するハリス氏(左)とアクセサリー部分の拡大画像(右)
一方、「NOVA H1」は、金色の部分は棒状ではなく、クリップ状になっており、耳たぶを挟んで固定する仕組みとなっている(参考)。
NOVA H1オーディオイヤリングの着用画像(左)と商品画像(右)
製造会社も否定
「NOVA H1」を製造するIcebach Sound Solutions社は、9月13日付けのプレスリリースで、ハリス氏が討論会で着用したアクセサリーは、同社の「NOVA H1」ではないと発表した。討論会の写真を分析した結果、デザインが異なることから、この結論に至ったとしている。
ティファニー製との指摘
ジャーナリストのスーザン・ケリー氏は自身のウェブサイトで、ハリス氏が討論会で着用していたアクセサリーをティファニー社製の「サウス・シー・パール・イヤリング」と特定している(参考)。実際に、ハリス氏が着用したアクセサリーと商品画像を比べると、形がよく似ている。
ハリス氏が討論会で着用したアクセサリーの拡大画像(左)とティファニー社製「サウス・シー・パール・イヤリング」の商品画像(右)
なお、ハリス氏は討論会の日以前にも、同様のアクセサリーを何度か着用している(参考1、2、3、4)。
歴代大統領候補にもイヤホン使用説
アメリカの大統領選挙の討論会で、候補者が電子機器を使用して不正に情報を得ているという疑惑は、過去にもあった。2004年のジョージ・ブッシュ氏(子)、2016年のヒラリー・クリントン氏、2020年のジョー・バイデン氏が疑惑の対象となったが、いずれも服のシワや耳の皮膚の膨らみなどを誤認したものとして否定されている(参考1、2、3)。
取材に回答なし
リトマスは、投稿者の藤原直哉氏にハリス氏が討論会でイヤリング型イヤホンを着けたとする主張の根拠を尋ねた。しかし、リトマスが設定した期限までに回答は得られなかった。
投稿は誤り
検証対象の投稿は、ハリス氏が討論会で「NOVA H1」というイヤリング型イヤホンを着用していたと主張している。しかし、「NOVA H1」はハリス氏が着用していたアクセサリーと形状が異なっており、製造会社も同様の見解を示している。よって、この投稿を「誤り」とする。
なお、Forbes JAPANやCBS、USA TODAYも同様の主張について取り上げ、ハリス氏が着用したアクセサリーは「NOVA H1」ではないと結論付けている。
(小嶋裕一、大谷友也)