検証対象

不法移民の強制送還に抗議する人々を解散させるため、着色した放水砲を使用したロサンゼルス市警
一般ユーザーのX投稿(2025年6月8日、約2100リポスト)
(※別の一般ユーザーの投稿動画を引用)
判定

この動画は2024年6月にケニアで撮影されたものである。
ファクトチェック
2025年6月6日、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスで、不法移民の摘発をめぐる抗議デモが発生し、全米各地に拡大。一部は暴動化し、ロサンゼルス市警や、ドナルド・トランプ大統領が派遣を指示した州兵などとの衝突が連日続いている(参考1、2)。
こうした状況の中、ロサンゼルス市警が「着色した放水砲を使用した」とする動画が拡散された。動画には、ピンク色の液体が放水され群衆が逃げ惑う様子が映っている。右上には中国のSNS「微博」のロゴが映っており、どこかから転載された動画であるようだ。
ケニアの動画
しかし、この動画はロサンゼルスのデモとは無関係だ。
この動画は2025年2月にも、当時アメリカで起きていた別のデモ(参考1、2)に関連して海外で拡散されていて、その際にAFP通信やLogically Factsなどがファクトチェック記事を公開している。
記事によれば、この動画は元々2024年6月にFacebookに投稿された(アーカイブ)もので、撮影場所はケニアの首都ナイロビである。当時ナイロビでは増税法案に対する大規模な抗議デモが行われ、警察との衝突で死者も発生していた(参照1、2)。
動画に映る場所も特定されていて(Google ストリートビュー)、特徴的な水色の壁の建物、ビルの上の広告看板、路上の時計などが動画と一致している(動画は左右が反転されている)。


この時の放水の様子は、カナダのテレビ局Global Newsなどでも別角度の映像が報じられている。世界各地の警察では、デモなどの鎮圧の際に着色した水を用いる例があり、これは参加者を後から特定しやすくするためだとされる(参照)。
一方で、今回のアメリカのデモにおいて参加者に放水が行われたという報道は今の所無い。
以上のことから、ロサンゼルス市警が「着色した放水砲を使用した」というのは「誤り」と判定する。
(大谷友也)