検証対象

🔥🇨🇵👁⏰️ パリのルイ・ヴィトン店舗が略奪されました。
(※動画付き投稿)

一般ユーザーのTwitter投稿(2023年6月30日、約2200RT)

判定

誤り

判定の基準について

この動画は2020年にアメリカで撮影された映像に、別の音声を加えて加工したものである。

ファクトチェック

2023年6月27日、パリ郊外で17歳の少年が交通検問中の警察官に銃で撃たれ死亡する事件が起きた。この事件を受けて警察への抗議活動がフランス全土へ広がる中、一部が暴動に発展。商業施設に対する略奪も発生している(参考12)。

TikTokやTwitterなど、SNSにはこの暴動の様子を撮影した動画が数多く投稿されている。

検証対象の33秒の動画には、叫び声や何かが割れるような音が鳴り響く中、布などで顔を覆った大勢の人がルイ・ヴィトンの店舗に押し入る様子が映っている。

動画は2020年アメリカ

動画の冒頭部分を画像検索すると、同じ場面が使われたインドの週刊誌「India Today」の記事がヒットする。この記事は2020年5月31日付で、アメリカで黒人のジョージ・フロイド氏が白人警察官の制圧により死亡したことに対する抗議活動(「Black Lives Matter」運動)がアメリカ各地に広まった際のものだ。記事ではこれはアメリカのポートランドでの出来事と説明されている。

元の投稿と見られる1分12秒の動画が、2020年5月30日(日本時間)にフリージャーナリストのSergio Olmos氏のTwitterアカウントから「ポートランドのルイ・ヴィトンが略奪される(Portland Louis V Looted)」というコメントと共に投稿アーカイブ)されている。

Googleマップに投稿されているルイ・ヴィトンのポートランド店の外観画像を見ると、店舗入り口の看板周り、店舗前通路の照明や柵、ショッピングモール内吹き抜けのエスカレーター、地階噴水周りのデザインといった様子が一致し、動画がこの店舗で撮影されたことが確認できる。

Sergio Olmos氏の動画(上2つ)とGoogleマップに投稿された店舗外観の画像(下、2022年7月)。枠線強調は筆者による(以下同)
Sergio Olmos氏の動画(右)とGoogleマップに投稿された吹き抜け付近の画像(下、2022年11月)

また、店舗のガラス扉に記されているのが見える「2060」という数字も、ポートランド店の所在地の番号と一致する。

Sergio Olmos氏の動画より

ポートランドの地元TV局「KOIN」による2020年6月の記事では、同年5月30日に起きたルイ・ヴィトン店舗への襲撃事件に関わった者たちを警察が特定しようとしていることが報じられている。

なお、元動画でも人々の騒ぎ声や何かを叩き壊しているような音が収められているが、今回投稿された検証対象の動画では音声が別のものに変えられている。

以上から、検証対象の動画はパリではなくアメリカ・ポートランドの2020年の事件の様子であり、音声も加工されているため「誤り」と判定する。

France 24AP通信もこの動画についてファクトチェックを行っている。なお、一部報道ではパリリヨンで実際にルイ・ヴィトンの店舗が襲撃されたとされているが、これを裏付ける映像などは無く詳細は不明だ。

(高倉佳子、大谷友也)

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