検証対象

「頭を覆うヒジャブを正しく身に着けていなかった」という理由で道徳警察に殺害されたイランのマフサ・アミニさんに関する抗議が拡大する中で、イランの女性たちが自主的に切り落とした髪の毛でつくられた「革命」のシンボル。
#Mahsa_Amini  #IranProtests2022 #مهسا_امینی
(※画像付きツイートの引用リツイート)

一般ユーザーのTwitter投稿(2022年9月21日、約850RT)

判定

誤り

判定の基準について

画像は2014年制作のアート作品で、2022年の抗議活動の一環としてイランの女性たちが切り落とした髪の毛で作られたものではない。

ファクトチェック

2022年9月13日、イランで22歳のマサ・アミニさんがイスラム教徒の女性が髪を覆うスカーフ、ヒジャブの付け方をめぐり道徳警察に逮捕され、その後16日に亡くなった。イラン各地で抗議運動が起きており、女性たちはスカーフを脱ぎ、髪を切るなど抗議している
SNS上でも抗議する内容が多数投稿されている。

検証対象のツイートもその一つで、トルコ語で投稿された画像付きツイートを引用している。引用元のツイートでは「イランでの女性の抗議行動は革命のシンボルを生み出した」と書かれていて、イランの女性が抗議のために髪を切って作った旗であると受け止められる文章ではある。検証対象の投稿をしたユーザーは約2週間後に自らのツイートを引用する形で訂正し、リツイートした人たちへ謝罪している。

この画像がイランの女性たちが抗議のためにつくった旗であるという情報は英語圏でも拡散していて、同月21日にインドの英語メディアFirstpostが、「イランの女性が反ヒジャブの抗議の際に切った髪の旗を掲げた」という内容の記事を出している。
また、同月23日にはインド人の映像制作者リーナ・マニメカライ氏が「この切り落とした髪の毛を旗として掲げた写真は今世紀を代表する写真になるだろう」というツイートは約1万3900回リツイートされ拡散されている。こちらはイランの女性が抗議のため作ったとは言明していない。

2014年カリブ海の島で撮影

この画像は、ベルギーのビジュアルアーティスト、エディス・デキント氏の「Ombre Indigène(先住民の影)」という映像作品の一場面である。デキント氏のホームページにあるリーフレット(P.60)にvideoextract(動画からの抽出)とキャプションがある。

映像作品を映した動画のキャプチャ、デキント氏のホームページより

この映像作品は、2016年にWiels美術館で開かれた同名の展覧会で展示されていて、展覧会のカタログ(PDF上のページ:P.30,31)に作品についての説明がある。2014年にカリブ海のフランス領マルティニーク島で撮影され、映像の長さは34分17秒、素材は髪の毛と書かれてある。

A flag made of hair was stuck in the ground and filmed on top of rocks on the Diamant coast, in Martinique. There, precisely, on the night of 8 April 1830, a clandestine slave boat transporting a hundred African captives washed up on the rocks before being entirely destroyed. (後略)
訳:マルティニーク島・ディアマン海岸の岩の上で、髪の毛で作られた旗が地面に突き立てられ撮影された。ちょうど1830年4月8日の夜、100人の囚われたアフリカ人を運ぶ秘密の奴隷船が岩に打ち上げられ、完全に破壊されたその場所で。

エディス・デキント氏のカタログより

同様の画像については、インド(DFRAC)や香港(annie lab)のファクトチェック機関も「イランの女性が反ヒジャブの抗議の際に切った旗を掲げたものである」という情報を誤りであるとしている。
以上から、画像はイランの女性たちが切り落とした髪で作った旗ではないため「誤り」と判定する。

(高倉佳子、大谷友也)

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