検証対象

ソウルの豪雨で車の上に孤立しながらもスマホをペコペコやってる氏、本当かどうかしらんが聯合ニュースの記者らしい。 この状況でめっちゃ仕事してるやん

一般ユーザーのTwitter投稿(2022年8月9日、約6000RT)

判定

誤り

判定の基準について

写真の人物は別人だと記者本人が否定している。

ファクトチェック

8月8日から韓国で発生した記録的豪雨は、首都ソウルでも洪水など大きな被害をもたらした。この時撮影された、水没する車の上で孤立しながらスマートフォンを操作するスーツ姿の男性は、「瑞草洞の賢者」や「江南ジェネシス男」などと呼ばれ、韓国や日本で話題になった

ネット上では、顔が似ているなどの理由からこの人物は韓国の通信社「聯合ニュース」の記者パク・サンリュル氏ではないかと言われていた。

否定する証言

パク氏は8日、聯合ニュースのTV番組で電話を通じ豪雨被害の状況をレポートしていたが、その際は「報道局につないで詳しく見てみましょう。パク・サンリュル記者」と紹介されていて、報道局の建物内にいる様子だった。

聯合ニュースTVより、電話でレポートするパク・サンリュル氏(右のワイプ内)

9日には、元TVプロデューサーで動画制作会社CEOのキム・ドヨン氏がYouTubeで動画を公開。元同僚であるパク氏に直接真相を聞いたところ、噂を否定する直筆のメッセージを示されたと証言した(参照)。

キム・ドヨン氏のYouTube動画より。左はパク氏のプロフィール画像になっているという「ジェネシス男ではありません」と書かれたメッセージ

本人も登場

12日、聯合ニュースTVで別の記者がパク氏本人にインタビュー。パク氏は「瑞草洞の賢者=江南ジェネシス男」は自分ではないと明言した。

聯合ニュースTVより、記者の質問に答えるパク氏(手前右)。「『瑞草洞の賢者』ですか?」との質問に「違います」と即答している

パク氏によれば、8日彼は夜勤で報道局にいて生中継のレポートを続けていたが、その頃から既に噂が広まり、知人から次々とメッセージが来ていたという。

インタビューはジョークも飛び交い和やかな雰囲気で行われているが、パク氏は当時は災害で笑えるような状況ではなかったので心が重かった、偽ニュースがあっという間に広がることに記者として驚いたなどと心情を述べている。また、本物の「瑞草洞の賢者」のその後を心配し、ぜひ会いたいとも語っている。

以上のことから、写真の人物は聯合ニュース記者とは別人であり、検証対象のツイートは「誤り」であると言える。

(大谷友也)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事を読んでよかった、役に立ったと思われた方は、ぜひ「ナットク」やシェアボタン(右下)をクリックして、サポーターになっていただけると嬉しいです。
記事で気になるところがありましたら、こちらからコメントください。
新しいファクトチェック記事のお知らせメールを希望する方はこちらで登録できます。