検証対象

のり弁当を喰うだけで 一体自分が何を喰わされるのか把握しきれない…
(※画像付き投稿)

一般ユーザーのTwitter投稿(2023年6月24日、約4700RT)

判定

正確

判定の基準について

この弁当を製造・販売する企業はリトマスの取材に対し、ラベルの記載内容や貼り付け位置などがこの商品と相違しないことを認めている。

ファクトチェック

6月24日、あるTwitterユーザーが「のり弁当」に貼られた表示ラベルの画像を投稿した。ラベルには調味料、保存料、着色料など多数の食品添加物が記載されており、このユーザーは「のり弁当を喰うだけで 一体自分が何を喰わされるのか把握しきれない…」と批判的なコメントを添えている。

なお、本稿では販売時にこのラベルが本当にこの通り貼られていたか否かのみを検証し、このような表示方法が適切か否かや、これらの添加物の人体への影響の有無などは議論しない。

「別の表示を貼り付け」と拡散

その後、このツイートには別のユーザーによって次のようなコミュニティノートが付けられた。

本来の原材料表示の上から別の表示を貼り付けたものです。
そもそも、「のり弁当」と称するからには原材料には海苔が含まれていなければおかしいですが、これには含まれていません。
原材料表示は含まれる質量の多い順に表記されますが、この場合は加工澱粉が先頭になっており、甘味料が多く、赤・橙系の着色料が含まれている事から、これは本来、お菓子の表示かと思われます。

検証対象のツイートに付けられたコミュニティノート

コミュニティノート(以下「ノート」)とは、誤解を招く可能性があるツイートに対し、別のユーザーが背景情報を提供することができる機能だ。現在のところ、ノートを作成・閲覧できるのは基本的に「協力者」として参加を希望した一部のユーザーだが、協力者以外のユーザーのタイムラインにもノートが表示されることがあるようだ(参照)。

ノートを作成するのはあくまで一般のユーザーであり、その内容の正しさが保証されているわけではない。別のユーザーがノートを追加して反論したり、ノートが役に立ったかどうかをユーザー同士で評価したりすることもできる。

6月26日、上述のノートをスクリーンショット画像の形で添付した別のユーザーのツイートが「陰謀論論破してて笑った」などのコメントと共に投稿された。このツイートは約1.3万RTと、元のツイート(約4700RT)を上回るほど拡散され、本来一部のユーザーにだけ表示される仕様のノートが多くの人に閲覧されることとなった。

コミュニティノートのスクリーンショット画像を添付したツイート

ノートの指摘の妥当性

上述のノートでは、このラベルは本来「お菓子の表示」だと推測し、「本来の原材料表示の上から別の表示を貼り付けたもの」と断定している。「貼り付けた」のが誰なのかノートには明示されていないが、投稿者自身が意図的に別の商品のラベルを移し替え偽造したと示唆する内容である。

しかし、このノートの指摘には妥当とは言えない点が複数ある。

まず、「原材料には海苔が含まれていなければおかしい」とあるが、そもそもこのラベルは原材料を表示しているとは限らない。食品表示基準第5条では、「食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合」は原材料など一部の表示が必要無いとされており(例外あり)、消費者庁による食品表示法の解説の中でも次のように書かれている。

小売店等の店内で弁当、惣菜を調理し、容器包装に入れて販売する場合やバックヤードや店舗と同一敷地内の施設で調理し、容器包装に入れて販売する場合などは、製造又は加工をした者が消費者に直接品質等について説明できることから、原材料名、内容量、栄養成分の量及び熱量、原料原産地名など一部の表示は必要はありません。

消費者庁食品表示企画課「食品表示基準Q&A:別添 弁当・惣菜に係る表示」p.18より

つまり、この弁当が店内調理され同じ店内で販売されたのであれば、海苔や米などの原材料がラベルに書かれていなくてもおかしくはない。なお、この場合も添加物の表示は必要となる。

このノートのもう一つの問題は、ラベルを「お菓子」のものとする推測の信憑性だ。加工澱粉・甘味料・着色料が多いことが理由に挙げられているが、これらは菓子類だけに使われるわけではない。例えば加工澱粉はたれ類、肉団子、麺類、揚げ物など、様々な食品に利用されている(参照)。

また、添加物の3番目には「くん液」の記載がある。くん液(燻液)とは燻煙の成分を液体化したもので、肉類などに燻製のような風味を付けるために使われる(参照)。菓子類に使われることも考えられなくはないが、やや珍しいと言えるだろう。

企業側の回答

改めて検証対象の画像をよく見ると、ラベルの下部にうっすらと「むすんでひらいて アズ熊谷店」という文字が透けて見える。

検証対象ツイートの添付画像を一部拡大。強調は筆者による

リトマスでは、弁当・総菜チェーン「むすんでひらいて」を運営する「株式会社むすんでひらいて」の親会社、「株式会社MHホールディングス」に対し文書で取材を行った。以下はその回答である。

1)この弁当は「むすんでひらいてアズ熊谷店」様で販売されたものではないかという指摘がありますが、これは事実でしょうか。

⇒ 弊社、むすんでひらいてアズ熊谷店で間違いございません。

2)事実である場合、この表示ラベルはこの弁当に本来貼られていたものなのでしょうか。また、ラベルは本来この位置に貼られるものでしょうか。

⇒ 当該店舗で販売している”のり弁当”のラベル情報と相違はございませんでした。
  ラベルの位置についても、お客様が確認し易いようにと画像のように重ねて貼っております。

3)「むすんでひらいて」様の商品において、このように食品添加物のみをラベルに記載し、その他の原材料を表示しないことは通常あるのでしょうか。

⇒ 消費者庁で定められているルールに則って表示しております。
  弊社店舗の厨房で製造を行っている商品については
  ”原材料表示は省略”、”添加物情報は使用重量順で表示” を行っております。

4)今回このような投稿がネット上で行われ拡散したことに関し、御社として何かコメント等はございますでしょうか。

⇒ 特にコメントはございません。

以上のように、この弁当を製造・販売した企業がラベルの記載内容や貼り付け位置などを当該商品と相違しないと認めたことから、検証対象のツイートは「正確」と判定する。

(大谷友也)

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