FacebookやInstagram、Threadsを運営するMetaは7日、同社が世界で展開する第三者ファクトチェックプログラムについて、アメリカにおける運用を終了すると発表しました。現在日本で唯一このプログラムに参加するファクトチェック団体として、本発表に関するリトマスの見解をお伝えします。

第三者ファクトチェックプログラムとは

第三者ファクトチェックプログラムは、独立した外部ファクトチェック団体がMetaプラットフォーム上のコンテンツの正確性を評価する仕組みです。「虚偽」「改変」「一部虚偽」などの評価をされたコンテンツには、背景情報として提携先のファクトチェック記事を参照するよう促す表示が行われるほか、配信数を減らすなどの抑制措置も行われることがあります。

Metaはアメリカでこのプログラムを終了し、Xのコミュニティノートのような仕組みを導入するとしていますが、アメリカ以外の地域では現在の仕組みが当面継続されます。リトマスが参加する日本でも、「現時点で変更はない」と伝えられています。先行きに不透明感はありますが、私たちは今後もこの第三者ファクトチェックプログラムのもと、Metaプラットフォーム上の誤情報・偽情報を防ぐ取り組みに引き続き協力していきます。

「検閲」との指摘について

なお、Metaは発表の中で第三者ファクトチェックプログラムが「検閲のツール」になっていたと述べていましたが、この点について補足します。

Metaによる第三者ファクトチェックプログラムの解説ページには次のように書かれています。

ファクトチェッカーがMetaのアプリケーションからコンテンツ、アカウント、ページを削除することはありません。コンテンツがMetaのコミュニティ規定に違反している場合は、Metaが削除しますが、これはファクトチェックプログラムとは別の取り組みによるものです。

Metaの第三者ファクトチェックプログラム」より

また、Metaがリトマスとの提携を開始した際のプレスリリースにも次のようにあります。

なお、ファクトチェッカーがMetaのアプリケーションから直接コンテンツやアカウント、ページを削除することはありません。

Meta、第三者ファクトチェックプログラムを日本で開始」より

ファクトチェッカーによる「虚偽」「改変」「一部虚偽」などの評価は、背景情報となるファクトチェック記事への誘導を目的としており、評価されたコンテンツを抹消・削除するものではありません。

国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)が発表し、リトマスも参加した昨年の声明にもあるように、ファクトチェックは「追加情報を提供し、誤りやミスリード、または重要な文脈が欠如しているメッセージを訂正したり明確化したりするための証拠を提示すること」を目指しています。ファクトチェックは検閲ではなく、むしろ情報へのアクセスと表現の自由を擁護するものです。誤った情報の氾濫は人々の健全な議論と適切な判断を妨げ、民主主義を傷つけます。

リトマスの方針

最後に強調しておきたいのは、Metaを始め、いかなる外部組織がどのような判断をしたとしても、リトマスは自らのポリシーに従い、自らの考えでファクトチェックを行っていくということです。今後の状況は注視しながらも、私たちは独立したファクトチェックメディアとして多くの人に信頼される活動を続けてまいります。