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「演出」として「揃わないバレエ群舞」を笑うというネタです。このファクトチェックについては詳しくはファクトチェック記事を参照いただくとして、いかにも「芸術!」というイメージの強いバレエも、このようなお遊びの要素のある題目もあるのです。

最も有名なのはトロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団ではないでしょうか。これは、バレエ団の存在自体が性を超越した、歴史のあるバレエ団です。一言でいうと、男性が女装して、女性のバレエを踊ります。そこに演出としてギャグも交えます。日本でも大人気で、日本公演もしばしばあります。

もともと貴族のものだったバレエ、それを庶民が笑い飛ばすというスタイルができたのは最近のことです。トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団や、今回ファクトチェックのネタになった「Mistake Waltz」(こちらの埋込動画はPacific Northwest Ballet公式のもの)など、お笑いの要素の入ったバレエも制作されるようになります。

「Mistake Waltz」には様々な小技が効いています。お互いの動きが合わないのはもちろんのこと、およそバレエには見当たらないカクカクした動きや、メガネをかけた踊り手もいますね。しかしこれらの「おかしなこと」は基礎技術がしっかりしていないと、崩してできないものです。書道の手本がちゃんとできないうちに崩し字になってもただの汚い字ですよね。そういうことです。

バレエは歴史が長いので、それに付随する様々なエピソードがあります。かつて劇場の現場に勤めていた筆者が聞いたことがあるのは、「ボレロ」という演目の稽古をしていた時のこと。稽古音楽のカセットテープの頭出しを担当していて、同じメロディーが何度も続く曲の構成上、中途から稽古を再開するのに今どこのメロディーを出しているのかわからなくなって大目玉を食ったとかでしょうか(適当に「ここでいいか」と音を出したそうです)。ちなみに「ボレロ」とはこのような演目です。本編全部は長いので、雰囲気だけまずはご紹介します。

「ボレロ」は現代性のバレエです。これにはお笑い要素はありません。バレエの中では親しみやすい演目かと思いますが、もうちょっと敷居を軽くしたければ、先にあげたトロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団の演目がよいかもしれませんね。こちらのプロモーション映像をご覧頂くと、トロカデロのコミカルさが伝わるかと思います。

せっかく「本物」の面白いバレエがあるのですから、偽情報による「面白バレエ」を笑っているだけではもったいないと思います。なかなかバレエがファクトチェックの俎上に乗ることもないでしょうが、これをきっかけにバレエに興味を持ってみるのも面白いのではないでしょうか?

(西村晴子)

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