
2026年7月30日に公開した記事「熊本地震 イオンモール内部のAI偽画像が拡散」について、記事の取り下げを行うとともに、その経緯をご説明いたします。
本記事では、Xに投稿された画像を、生成AIなどによって加工されたものである可能性が高いとして「誤り」と判定しました。その主たる根拠としたのは、Googleストリートビューで確認できる同じ地点の2017年11月撮影の写真と比較して、2階天井部分の照明が一部無くなっている点です。
しかし、記事公開後の読者の方からのご指摘により、当該の照明はストリートビュー撮影後に撤去された可能性があることが判明しました。2026年2月にThreadsへ投稿された写真、および2024年2月にYouTubeへ投稿された動画(同年1月撮影)では、同じ地点に照明が存在していないことが確認できます。


したがって、検証対象の画像に照明が写っていないことは矛盾とは言えず、加工画像であることの根拠にはなり得ません。
加えて、記事公開時点で詳細が伝えられていなかった爆発事故後のモール西側の様子について、7月31日に公開された新たな映像を確認したところ、投稿画像と多くの点で一致する箇所が見られました。

なお、取り下げ前の記事でも触れたとおり、検証対象のX投稿以前に熊本県警などが公開した店内の映像に、投稿画像と一致する場面は無く、画像の出所は依然として不明です。そのため、画像が加工されている可能性が全く無いとは言えないものの、それを強く疑わせる明確な根拠もありません。
以上を勘案し、リトマスでは投稿を「誤り」とした判定を無効とし、本記事を取り下げることといたしました。読者の皆様、および関係者の皆様に対し深くお詫び申し上げます。
今回の誤りの主因は、以前存在していた照明が痕跡を残さず無くなることはあり得ないという思い込みにありました。また、照明の有無以外の重大な矛盾を確認できないまま誤りと断定したことも、早計だったと言わざるを得ません。
事実を追求するファクトチェック専門メディアとして極めて軽率であり、あってはならない不備だったと認識しています。重ねてお詫びするとともに、以後このようなことの無いよう一層の慎重さをもって検証にあたってまいります。誠に申し訳ございませんでした。
また、記事では堅料網を台湾、光明日報を中国のメディアと記載していましたが、正しくは堅料網は香港のメディア、光明日報はマレーシアの中国語メディアでした。こちらの点も合わせて訂正し、お詫びいたします。
以下、記録として、取り消し前の記事をそのまま再掲いたします。
※以下、取り下げた記事内容を記録として再掲しています※
検証対象

イオンモール熊本ヤバい 一体何人亡くなったんだ 揺れてる時は外に出ないって教わったけど建物内も危険じゃんか
一般ユーザーのX投稿(2026年7月28日、約1300リポスト)
(※画像付き投稿)
判定

この画像は加工されたものと考えられ、実際の店内の様子を写したものではない。
ファクトチェック
2026年7月28日、熊本県で最大震度7を記録する地震(令和8年熊本地震)が発生した(参照)。その後、同県嘉島町のショッピングモール「イオンモール熊本」で爆発事故が発生。複数人の死傷者が出ており、本稿執筆現在も捜索と救助が続けられている(参照)。
この爆発後の店内の様子とされる画像が、Xで拡散されている。検証対象の投稿では、大きく損傷した店舗外観と店内の様子を写した画像が並べて掲載されている。
ストリートビューと不一致
しかし、このうち店内の画像は実際の様子を写したものではなく、AIなどで作成された可能性が高いと考えられる。
爆発前のイオンモール熊本店内の様子は、Googleストリートビュー(2017年11月撮影)で確認できる。投稿画像と同一と思われる地点の写真もあり、比較すると両者は概ね一致している。

しかし、2階天井部分を見ると、ストリートビュー画像に見られる照明が検証対象の画像には存在していない。爆発により損傷・崩落したとしても、照明が取り付け部分の跡すら残らず完全に消失するとは考えにくく、投稿画像は本物ではない可能性が高い。実際の店内を映した写真を、AIなどで加工して作られたものと考えられる。

ただし、加工画像には左手のエスカレーター手前に2018年7月に作られたキッズスペース「トモイクひろば」(参照)が描写されていることから、加工の基になっているのはストリートビューより後の時期に撮られた写真と考えられる。

警察などが店内映像を公開
現在のところ、爆発後の店内の様子を映した映像としては熊本県警や消防庁、陸上自衛隊が撮影したものなどがあるが、検証対象の画像と一致するものは無い。
以上のことから、この画像は爆発後の実際の店内を写したものではなく架空のものと考えられるため、「誤り」と判定する。
海外メディアにも拡散
この加工画像は別のユーザーもストリートビュー画像とともに投稿し、約1900リポストを獲得したが、現在は投稿は削除されている。

また、台湾の壹蘋新聞網や堅料網、中国の光明日報、香港の新假期など、複数の海外メディアでもこの画像が本物として使用されるなど、拡散が続いている。
(大谷友也)