ファクトチェック
2026年8月26日にネパールと中国・チベット自治区の国境地帯で発生した大規模土石流では、今も死者・行方不明者が増え続けている(参照)。
本記事では前回の「5件まとめ」に引き続き、この災害に関する誤った情報や誤解を招く情報をピックアップする。
ゾウが人々を救う?

濁流の中で孤立していた人が、近付いて来たゾウの背に乗り脱出するという動画。
この動画は今回の土石流発生より前の2026年8月上旬からネット上に存在し、当時はインド・アッサム州の映像として投稿されていた。詳細は不明であるものの、少なくとも今回のネパールの災害とは無関係だ。
なお、質感や動き等が不自然だとしてAI生成動画とみなす指摘(例1、2)もあるが、リトマスで確認した限りではその確証は得られなかった。
流される街の動画?

街を濁流が襲い、車や人が流される動画。主に海外で拡散されている動画だが、日本でも引用投稿等を通じて一部で広がっている。
この動画はAI生成だ。下記のファクトチェック記事では、流されたトラックが不自然な動きをする、人が消える、大きな岩や木が突然現れる、さらに動画からGoogleのSynthID(電子透かし)が検出されるといった根拠を挙げている。
鉄砲水がもたらしたもの?

水辺にある巨大なアンモナイトの化石のようなものを映した動画。「ネパール🇳🇵の鉄砲水がたくさんのものを奪っていったかわりにもたらしたもの」として、今回の土石流によってこの物体が現れたように述べられている。
実際にはこれは、ヒンドゥー教の神の象徴とされる化石「シャリグラム」をイメージした彫刻作品で、2026年5月に完成していた。場所も被災地域から数百km離れている。
被害者の所持品を漁る?

ボートに乗った人たちが水面からリュックサックを拾い上げ、中から紙幣を取り出すという内容の動画。投稿は約3800リポストを獲得したが、その後削除された。
実際にはこの動画はInstagramで2026年7月に既に投稿されていたため、今回の土石流とは無関係だ。FactlyはこのInstagram投稿者にダイレクトメッセージと通話で取材。動画の撮影地はインドの都市ブリンダーバンで、台本に基づく演出動画だという回答を得ている。
ダム崩壊の動画?

元衆議院議員の務台俊介氏が、海外ユーザーの動画付き投稿を引用し「ネパールで中国製のダムが崩壊」などとコメントした投稿。動画の前半は倒壊したダムからあふれた大量の水が街を襲うシーン(下図左)、後半は街中に流れてきた水が逃げる車に覆いかぶさるシーン(下図右)だ。

しかし、これらは2つともAI生成の可能性が高い。Independent TVは、ツールによる分析に加え、動画内の不自然な点(波の動きが非現実的、水に飲まれた後車が消失している)からも、この2つのシーンを共にAI生成と判定している。また、災害が発生したのは現地時間の午前8時頃で、報じられている他の映像を見ても、この動画のような車がライトを点けるほどの暗さではない(参照)。
務台氏の言う「ネパールで中国製のダムが崩壊」したという情報自体も、報道等では確認できなかった。
崩落発生の瞬間?

これも務台氏が海外ユーザーの動画付き投稿を引用したもの。山の上から雪の塊が落ちて来る様子が映っている。
しかし、これは2026年7月にペルーで起きた雪崩の動画だ。今回の土石流は氷河の崩落が原因とされているが、この動画はそれを映したものではない。
(大谷友也)






