検証対象

これは酷いね
一般ユーザーのThreads投稿(2026年7月14日、約2000回再投稿)
(※「高市総理は代々続いた月一度の今上陛下との面談にただの一度も行った事がないのは知ってますか?」と書かれた画像付き投稿)
判定

今上天皇と面談し政治上の報告をする「内奏」について、高市氏は首相就任以降これまでに3回行っている。また、こうした面談が「月一度」「代々続いた」という事実は無い。
ファクトチェック
検証対象の投稿画像には、高市早苗首相が今上天皇との面談を一度もしていないとする主張が大きく書かれている。
この画像はThreadsだけでなくXでも拡散されている。別の一般ユーザーによる同日の投稿が約8600リポスト、さらにそれを引用した映画評論家・コラムニストの町山智浩氏の投稿が約3400リポストを獲得している。

高市氏は3度面談
しかし、この画像に書かれている内容は誤りだ。高市氏が今上天皇と一度も面談していないというのも、そもそも首相と今上天皇との月1度の面談が代々続いていたというのも、事実ではない。
首相(総理大臣)などの国務大臣が天皇と面談し、政治上の報告をすることを「内奏」と言う(参照1、2)。宮内庁のウェブサイトには天皇や皇族の日々の活動が記されており(平成:明仁天皇(現上皇)、令和:徳仁天皇(今上天皇))、内奏についてもいつ誰によって行われたかが記録されている。
これによれば、2025年(令和7年)10月21日に首相に就任した高市氏(参照)は、本稿執筆現在までに以下の3回内奏を行っている(林芳正総務大臣による1回(2026年2月17日)を除く)。
このほか、高市氏は首相親任式(2025年10月21日、2026年2月18日)、天皇誕生日(2026年2月23日)、皇后誕生日(2025年12月9日)、新年祝賀の儀(2026年1月1日)、その他午餐会(2025年12月24日)の際にも今上天皇と面会している。
歴代首相も数カ月おき
高市氏以外の歴代の首相は、当時の今上天皇への内奏をどのくらいの頻度で行っていたのだろうか。
以下は、近年の各首相の在職日数を内奏回数で割った結果だ。在任日数と時期は首相官邸サイト、内奏の記録は宮内庁サイトの天皇活動記録(平成・令和)を参照し、敬称は省略した。
- 小泉純一郎:在職1980日÷21回=約94.3日に1回
(2001年7月9日、8月2日、10月30日、2002年4月23日、8月8日、10月4日、10月30日、2003年1月14日、4月22日、7月31日、10月27日、12月4日、2004年4月23日、6月23日、7月21日、10月29日、2005年4月19日、10月28日、2006年4月25日、7月4日、7月21日)
- 安倍晋三①:在職366日÷6回=61.0日に1回
(2006年10月27日、12月27日、2007年3月15日、4月24日、6月15日、9月5日)
- 福田康夫:在職365日÷4回=約91.3日に1回
(2007年10月26日、2008年4月22日、7月3日、7月15日)
- 麻生太郎:在職358日÷3回=約119.3日に1回
(2008年10月28日、2009年4月21日、6月11日)
- 鳩山由紀夫:在職266日÷2回=133.0日に1回
(2009年10月27日、2010年4月27日)
- 菅直人:在職452日÷2回=226.0日に1回
(2010年10月26日、2011年6月17日)
※このほか、2011年5月10日に東日本大震災対応について天皇から「ご説明」との記述あり
- 野田佳彦:在職482日÷3回=約160.7日に1回
(2011年10月25日、2012年4月24日、10月30日)
- 安倍晋三②:在職2822日÷39回=約72.4日に1回
(2013年1月21日、4月24日、9月18日、10月25日、2014年4月22日、10月24日、12月24日、12月25日、2015年4月17日、5月13日、10月7日、10月9日、10月30日、12月4日、2016年4月11日、4月22日、6月13日、8月3日、8月5日、10月28日、2017年4月13日、4月21日、6月30日、10月24日、11月1日、11月2日、11月21日、12月1日、2018年4月24日、10月23日、2019年2月21日、3月29日、4月5日、2019年5月14日、10月29日、11月12日、12月27日、2020年3月31日、4月22日)
- 菅義偉:在職384日÷3回=128.0日に1回
(2020年10月27日、2021年4月20日、6月22日)
- 岸田文雄:在職1094日÷8回=約136.8日に1回
(2021年10月26日、2022年1月18日、4月19日、7月11日、10月25日、2023年4月18日、10月20日、2024年4月19日)
- 石破茂:在職386日÷4回=96.5日に1回
(2024年10月25日、2025年4月22日、8月19日、10月17日)
このように、各首相の内奏の頻度は数カ月に1回程度であり、「月一度」の面談が「代々続いた」というのは正しくない。また、高市氏は本稿公開日までに276日在職で内奏は3回なので、頻度は92.0日に1回と、これまでの首相と概ね同程度である。
投稿は誤り
以上のように、高市氏が今上天皇に対しこれまでに3回内奏を行っており、「今上陛下との面談にただの一度も行った事がない」というのは正しくない。また、首相と天皇の面談が「月一度」「代々続いた」というのも事実に反している。検証対象の投稿は、この2つの点から「誤り」であると判定する。
(大谷友也)






