検証対象
「国会議員の給料を500万弱あげました😁」と「国民の最低賃金1500円は2030年代まで先送りします😤」が同時にあがってくる時点で現政権にまったく信頼を寄せられないし、国民はどんだけ舐められてんだよと思いました
一般ユーザーのX投稿(2026年7月1日、約2000リポスト)
判定

上がったのは国会議員のあらゆる収入を含めた平均所得であり、議員としての給料や賞与が最近になって上がった事実は無い。
ファクトチェック
2026年6月30日、衆議院と参議院はそれぞれ所属国会議員の2025年分の所得等報告書を公開した。報告書は「政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律(資産公開法)」第3条・第5条に基づき毎年提出・公開されるもので、衆院・参院ともにオンラインなどでは公開されず現地で閲覧する必要があるが、メディア各社の集計・報道でその内容を知ることができる。
公開対象は2025年の1年間を通じて在職した計471人の議員(衆院293人・参院178人)で、その平均所得は3003万円(参考1、2、3)。前年に公開対象だった議員の平均2513万円から、490万円増加となった(参考1、2)。
こうした報道を受け、SNS上では、国会議員の給料が490万円増加したと解釈する投稿が相次いでいる。「国会議員の給料を500万弱あげました」とする検証対象の投稿(削除済み)も、報告書公開の翌日のものであることから、この報道を受けたものと考えられる。
給料は変わらず
しかし、増加したのは上記報道の通り国会議員の平均所得であって、給料ではない。
国会議員の給料は「歳費」と呼ばれる。その金額は法律で規定されていて、現在の月額歳費は衆参両議長が217万円、副議長が158万4000円、その他一般議員が129万4000円である(「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(歳費法)」第1条)。コロナ禍を理由に2020年5月から行われていた歳費2割削減措置が2022年7月に終了して以降、この額に変化は無い(参照)。2025年には月額歳費を5万円引き上げる法改正が検討されたことがあるが、最終的に見送られている(参照)。
国会議員にはこのほかに、毎年6月と12月に「期末手当」と呼ばれる賞与(ボーナス)が支給される(歳費法第11条の2)。期末手当は現在年額約638万円で、2025年12月に国家公務員の賞与増額が決定(参照)した際にも、これに連動して増額するはずだった国会議員の期末手当は法改正によって据え置かれた(参照1、2)。
所得の大半が株式関連の議員も
議員の給料や賞与が変わらないのに平均所得が変化するのは、所得にはそれら以外にもあらゆる収入が含まれるからだ。
例えば、所得が11億4015万円と公開された中で最も多かった中西健治衆院議員(自民党)は、うち上場株式の売却益が9億6645万円、配当が1億4834万円と、株式関連の収入が所得の大半を占めている。10億2350万円で2位の田村憲久衆院議員(自民党)も、そのうちの9億8899万円が株式譲渡益だ(参照1、2)。
高市早苗首相の場合、所得3641万円のうち、議員歳費や首相給与を合わせた給与所得は2359万円で、これとは別に原稿料や印税などの雑所得が1282万円ある(参照)。
このように、議員としての給料や賞与以外にも、平均所得の増加にはさまざまな収入が関係したと考えられる。また、所得公開対象の議員は「前年一年間を通じて国会議員であった者」(資産公開法第3条)などとされ毎年違うことも、平均所得の増減の要因になり得る。
以上のように、公開された国会議員の2025年分の平均所得が前年分より490万円増えたのは事実だが、議員の「給料」は変わっていないため、「国会議員の給料を500万弱あげました」とする検証対象の投稿は「誤り」と判定する。
多数の投稿が拡散
検証対象のものと同様、国会議員について「自分たちの報酬アップ」「自分らの給料は490万アップ」などと批判する投稿はほかにも複数拡散されている。

また、「年収」がアップしたと正しく書かれているものの、それが国の財源からまかなわれるかのように述べ、議員報酬と混同していると思われる投稿もある。

あるまとめアカウントは、他のユーザーの投稿をコピーする形で、数千リポストを獲得する投稿を複数回行っている。

さらに、ThreadsやYouTubeでも同様に誤った投稿や誤解を招く投稿が多数拡散されている。


プラットフォームの枠を超え、類似した誤解が非常に広く拡散されている状況だ。
(大谷友也)






