検証対象

野田佳彦 多文化共生党党首 「我々は他文化共生社会を作ります。木更津だけではありません。習志野と津田沼をナイジェリア人特別受け入れ特区にします。」
一般ユーザーのX投稿(2025年9月6日、約7100リポスト。原文ママ)
(※動画付き投稿)
判定

野田氏がこの演説で「ナイジェリア人特別受け入れ特区」を作ると発言した事実は無い。
ファクトチェック
2025年8月、国際協力機構(JICA)が日本の4つの市をそれぞれアフリカの国の「ホームタウン」として認定し、互いの交流を後押しする取り組みを発表した。この時、千葉県木更津市を「ホームタウン」とするナイジェリアの政府プレスリリースに、移住や就労を望むナイジェリアの若者のために日本政府が「特別ビザ」を創設するという誤った記載がされたことなどをきっかけに、誤解に基づく反発が巻き起こる事態となった(参照)。
検証対象の投稿では、立憲民主党代表の野田佳彦氏を「多文化共生党党首」と称したうえで、木更津市と同じ千葉県で野田氏の地元でもある習志野市や、習志野市の中心地区である津田沼を「ナイジェリア人特別受け入れ特区」にすると野田氏が発言したかのように書かれている。
投稿は約7100リポストを獲得しており、引用した日本保守党の北村晴男参議院議員や、一般ユーザーの投稿も拡散されている。

「特区」主張の場面無し
しかし、投稿に添付された動画における野田氏の発言は以下のようなもので、「ナイジェリア人特別受け入れ特区」に関する言及は無い。
我々は多文化共生社会を作りたいと思っています。外国の方と共生できるだけではありません。多文化共生というのは、性別の差別を無くしていこう、男性女性の差別を無くしていこう。そして、当然今、国籍の壁も無くしていこう。あるいは、価値観の相違を認めていこう、年齢差で差別することもやめよう。そういうことが多文化共生社会なんです。
検証対象の動画より
この動画は、参議院議員選挙期間中の2025年7月12日に、野田氏が仙台市内で行った応援演説の一部を切り取ったものである。元の動画は立憲の石垣のりこ参院議員(当時は候補者)のYouTubeチャンネルに投稿されていて、野田氏の演説内容は立憲の公式サイト上にもほぼそのまま掲載されている(冒頭のプロ野球の話など、一部は省略されている)。
これらを見ても、野田氏が木更津市・習志野市・津田沼といった千葉県内の地名や、「ナイジェリア人特別受け入れ特区」について言及する場面は見当たらない。
投稿は「誤り」
そもそも、この演説はJICAの「ホームタウン」発表よりも前であることから考えても、千葉県での「ホームタウン」認定を念頭にしたような発言をするのは考えにくい。
以上のように、当該の演説において野田氏が「ナイジェリア人特別受け入れ特区」を作ると発言した事実は無いため、検証対象の投稿は誤りと判定する。
この件に関しては、日本ファクトチェックセンター(JFC)もファクトチェック記事を公開している。
(大谷友也)






