検証対象
平野雨龍さん22万で落選 蓮舫さん2万で当選 これが選挙😇
一般ユーザーのThreads投稿(2025年7月21日、約1400再投稿)
判定

2025年参院選において、蓮舫氏は約33.9万票で当選している。
ファクトチェック
2025年7月20日に投開票が行われた参議院議員選挙で、立憲民主党から比例代表候補として出馬し当選した蓮舫氏について、2万票しか得票がなかったとする投稿が多数拡散されている。その多くは、平野雨龍氏(東京選挙区・政治団体雨龍会代表)、世良公則氏(大阪選挙区・無所属)、浜田聡氏(比例区・NHK党)といった、他の落選した候補が蓮舫氏よりも多くの票を得たと主張するものだ。
Threadsでは検証対象の投稿の後にも、数百~数千回再投稿された投稿が投票翌日の21日から22日頃にかけて複数あり、多いものでは約3100回再投稿されている。

また、Xでも、平野氏や浜田氏よりも蓮舫氏の得票数が少ないとする23日の投稿が約1万リポストを獲得している。

蓮舫氏得票は約33.9万
しかし、蓮舫氏の得票が2万票だというのは誤った情報である。
今回2025年参院選の開票経過や最終結果などは、総務省のHP上で公表されている。最終的に確定した選挙結果によれば、蓮舫氏は約33.9万票を得ている。

なお、平野氏の得票は約23.5万票(p.87)、世良氏は約25.3万票(p.92)、浜田氏は約33.5万票(p.43)と、いずれも蓮舫氏よりも少ない。
したがって、「蓮舫さん2万で当選」という検証対象の投稿は「誤り」と判定する。
同様の検証は日本ファクトチェックセンター(JFC)も行っている。
得票数と当落が逆になることも
ただ、現行の選挙制度の特性上、単純に得票数の多い候補者が当選となるわけでないのは事実だ。
選挙区の場合、争う議席の数や他の候補の得票などとの兼ね合いによって、当選に必要な票数は大きく変わる。今回の選挙では、全国の選挙区の落選者で最多の得票数は約57.2万票、当選者で最少の得票数は約14.2万票となった(参照)。
また、参院選の比例区はドント式と呼ばれる方式により各党に議席が配分され、各党内で個人の得票数の多い候補が当選となる仕組みだ(参照)。この方式では、別々の党の候補者を比べた場合、個人名での得票が多い候補が落選し少ない候補が当選するという逆転現象が起こることがある(参照)。今回の参院選でも、例えば上で挙げた通り、立憲民主党の比例代表当選者のうち蓮舫氏以外は、NHK党で落選した浜田氏(約33.5万票)よりも得票が少ない。
開票途中の数字のまま拡散か
実は、蓮舫氏が約2万票で当選したという内容の投稿は、検証対象の投稿(7月21日午前7時22分)より前にも似たものが存在している。
下図の投稿は、7月21日午前2時29分に行われ、約1000回再投稿されている。

投稿者はここで「比例で蓮舫(得票数 21,589)が当選」と述べているが、後の23日の投稿では「最終的に蓮舫さんは全国で34万票ちかくを獲得」と正しい内容を書いている。
総務省が発表している中間開票状況によると、21日午前1時時点(開票率8.7%)で集計されている蓮舫氏の得票は約2.3万票と、「21,589」に近い。

NHK報道では、蓮舫氏は投票終了直後の20日20時台に当選確実となった(参照)。また、23時台には東京選挙区の最後の当選確実が報じられた(参照)ため、平野氏ら他の候補者は落選確実となっている。
こうしたことから、この投稿者は、まだ開票率がかなり低い状態での蓮舫氏の集計得票数と、開票が進んだ状態での平野氏の集計得票数を単純比較していた可能性がある。その後開票が進んでも、蓮舫氏の得票数は更新されず「2万」として他のユーザーに伝達され続けたようだ。
(大谷友也)






