検証対象
ク◯ド人が61歳の日本人男性を地下鉄の線路に突き落とす事件が発生。そんな事するなら、日本から出ていけ!!
まとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」記事タイトル(2025年6月11日)
判定

これは2024年2月にイギリスで起きた事件であり、被害者が日本人だという情報は無い。
ファクトチェック
2025年6月11日、まとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」(以下ツイッ速)は、「ク◯ド人が61歳の日本人男性を地下鉄の線路に突き落とす事件が発生。そんな事するなら、日本から出ていけ!!」というタイトルの記事を公開した(タイトルでは伏せ字だが記事内ではクルド人と明示されている)。ツイッ速のXアカウントによるこの記事の投稿は約5200リポストされ、広く拡散されている。
本校執筆現在、Xアカウントの投稿は削除されており、記事タイトルは後半部分が「そんな事するな!」と変更されているが、記事そのものの削除や内容変更はされていない。
引用により情報が変化
ツイッ速の記事はさかのぼると他のサイトや一般ユーザーのSNS投稿が情報源となっている。しかし、細かい部分の情報は伝わるうちに変化している。
2025年3月、Xのある一般ユーザーが事件の瞬間の動画とともに「英国の地下鉄で、クルド人の男が『ガンをつけた』といって61歳の男性を地下鉄の線路に突き落とした」と投稿(①)。その後6月になって、別の一般ユーザーがこの動画を引用し、埼玉県川口市の外国人問題(参照)と結びつける投稿をした(②)。この投稿は電子掲示板サイト「おーぷん2ちゃんねる」のスレッド(③)で引用され、検証対象のツイッ速記事(④)はこのスレッドを基に作られている。

このうち、最初の投稿①では事件が起きたのは「英国の地下鉄」だと書かれていたが、投稿②以降はその情報は失われ、単に「地下鉄」となっている。また、被害者については①と②では「61歳の男性」とだけ書かれていたが、③以降は「61歳の日本人男性」に変わり、タイトルには「日本から出ていけ!!」という言葉(④では後に削除)も加えられている。
過去のイギリスの事件
実際には事件はどのようなものだったのだろうか。
報道(1、2、3)によると事件は2024年2月、イギリスの地下鉄駅で起きた。加害者はクルド人移民で、ホームを歩いていた被害者を線路に突然突き落とし、逮捕された。被害者は電車が来る直前にホームに這い上がり無事だった。加害者は動機について軽蔑的な視線を向けられたためと供述。同年10月、殺人未遂の罪で無期刑(最低拘禁期間約8年)の判決を受けている(判決文)。
被害者の国籍は特に報じられておらず、日本人だという情報は無い。氏名はポーランド系のもので、イギリスで起きた事件ということを考えても、日本人の可能性は低いと言えるだろう。
以上のように、クルド人による地下鉄線路への突き落とし事件は(時期が離れているものの)実際に起きているが、被害者が「日本人男性」だというのは正しくないため、検証対象のツイッ速記事タイトルは「不正確」と判定する。
(大谷友也)