検証対象

is anyone home ?
(※動画投稿)

一般ユーザーのTikTok投稿(2025年4月7日、約342.2万再生)

判定

ミスリード

判定の基準について

この動画はAIで生成されたものである。

ファクトチェック

クマが民家を訪れドアチャイムを鳴らす様子を映したような約21秒の動画がTikTokに投稿され、さまざまなSNSなどで拡散されている。

動画は3つのシーン(①~③)から成り、いずれも民家の玄関先に現れた2匹のクマの映像とともに、「誰か家にいる?(is anyone home?)」というテロップが表示されている。シーン①・②では、1匹のクマが前足でチャイムのボタンを押す様子が映っている。

TikTokの元の投稿者は海外のユーザーと見られるが、1.3万件を超えるコメントの中には日本語のものも多く、日本のユーザーにもかなりの回数視聴されていると考えられる。また、コメントの内容から考えて、多くのユーザーは映像を本物と認識しているようだ。

投稿に対するコメント(一部)

これと同様の動画はXやThreadsなど、他のプラットフォームでも広く拡散されている。ただし、これらの動画にはテロップ表示が無いため、オリジナルの動画は上記のTikTokのものとは別に存在するようだ。

Xの投稿(2025年5月14日、約2500リポスト)とThreadsの投稿(同日、約100再投稿)

細部に不自然な点

この動画は、細部をよく見ると不自然な点が多数見られる。

全体

  • 各シーンで映るのは、玄関の構造や外の様子などから、それぞれ違う家のように見える。
  • シーン③のクマは①・②のクマより明らかに体格が大きい。
  • クマの爪がチャイムを叩く音や、チャイムが鳴る音が映像とずれている。

シーン①

  • チャイムのボタンが家の中に設置されている。
検証対象の動画0:00付近(赤丸強調は筆者による)。ボタンがある場所はドアの内側で、床は木になっている
  • クマの足の指は5本(参照)だが、この映像では4本しか無いように見える。さらに、5本目の指が一瞬だけ現れて消える。
動画0:03付近(部分拡大、赤丸強調は筆者による)。指の本数が一瞬変わる

シーン②

  • 固定カメラ(インターホン)の映像のはずなのに、クマの動きに合わせてカメラが動く
動画0:05付近~。カメラが動いている
  • クマの手のひらが奇妙な形をしている。
左:動画0:12付近(部分拡大) 右:実際のクマの手のひら(秋田県HPより)

シーン③

  • チャイムのボタンのような物が家の中にある。
動画0:16付近(部分拡大、赤丸強調は筆者による)。チャイムのボタンらしき物

以上のことから、この動画はAIで生成されたものと考えられる。投稿者は映像が本物だと明確に主張しているわけではないが、AI生成とも明示していないため、多くのユーザーがこれを本物と認識している。したがって、この投稿は「ミスリード」であると判定する。

同様の検証は、レバノン紙「アン・ナハル」でも行われている

チャイム鳴らすクマは実在

なお、野生のクマが民家のチャイムを鳴らす様子を撮影した事例は、海外で実際に複数報告されている(例12)。日本でも、映像は無いものの、2021年9月にクマが病院のインターホンのチャイムを鳴らしたと思われる例がある(参照)。

(大谷友也)

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