検証対象

(※ぼかし加工は筆者による)

半島の新聞が前原誠司を在日同胞と報道 >25日に中央日報特派員とのインタビューの途中、チャンさんは前原氏からかかってきた電話を受けた。チャンさんは「大丈夫、大丈夫。出馬を決心したというからおめでたい。 世論の反応が良く私も気分が良い。首相になったら在日同胞問題もよろしく頼みたい」と話した。1分間の短い通話だったがチャンさんは感無量な表情になった。
(※画像付き投稿)

一般ユーザーのX投稿(2025年3月4日、約600リポスト)

判定

誤り

判定の基準について

当該記事において「在日同胞」と書かれていたのは前原氏ではなく、前原氏の知人の在日韓国人女性、および日本に住む他の韓国・朝鮮人である。

ファクトチェック

検証対象の投稿は、韓国紙「中央日報」日本版記事のURLおよびスクリーンショット画像と共に、現在日本維新の会の共同代表である前原誠司衆議院議員が「在日同胞」として言及されていたと主張している。

この投稿は電子掲示板サイト「Talk」のスレッドに引用され、さらにこのスレッドを基に、まとめサイト「Tweeter Breaking News-ツイッ速!」(以下ツイッ速)が「【X】維新・前原共同代表 日本人ではないと話題に 過去に韓国の新聞で『在日同胞』と報道される」というタイトルの記事を公開。ツイッ速のXアカウントの投稿は約1.5万リポストを獲得し、広く拡散されている。

「在日同胞」は知人の韓国人女性

しかし、検証対象の投稿が参照した中央日報の実際の記事を見てみると、「在日同胞」は別の人物を指す言葉だったことが分かる。

この記事は2011年8月のもので、当時民主党に所属し2度目の代表就任を目指し党代表選挙に出馬を決めた前原氏が、在日韓国人である知人の「チャンさん」に電話で連絡したという内容だ。なお、代表選は後に野田佳彦氏が当選し、前原氏は敗れている。

記事中、「在日同胞」という言葉は以下の4回登場する。

(※記事タイトル)前原前外相が党代表選出馬、在日同胞に連絡「迷惑かかるかも…」

日本の次期首相職がかかった29日の民主党代表選に出馬する前原誠司前外相が、25日に在日同胞チャンさんに電話をかけ了解を求めた。

25日に中央日報特派員とのインタビューの途中、チャンさんは前原氏からかかってきた電話を受けた。チャンさんは「大丈夫、大丈夫。出馬を決心したというからおめでたい。 世論の反応が良く私も気分が良い。首相になったら在日同胞問題もよろしく頼みたい」と話した。

(※写真キャプション)前原前外相が国土交通相時代に母親のように慕っていた在日同胞チャン氏を執務室に招き撮影した記念写真。

いずれも中央日報記事「前原前外相が党代表選出馬、在日同胞に連絡『迷惑かかるかも…』」(2011年8月26日)より抜粋

記事を読むと、4つある「在日同胞」という言葉のうち、3つは在日韓国人である「チャンさん」、1つ(3つ目のチャンさんの発言内)は日本に住む他の韓国・朝鮮人を指しているのが明らかで、前原氏のことを指しているとは読み取れない。

2011年3月、前原氏はかつて在日韓国人の女性から違法な政治献金を受け取っていた問題を受け、外務大臣を辞任した(参照12)。記事に登場する「チャンさん」はこの献金を行った当人だ。記事によれば前原氏はチャンさんと中学生時代から親交があり、母親のように慕っていた。自身の代表選出馬によってチャンさんに再び世間の注目が集まり迷惑がかかることを懸念した前原氏が、チャンさんに了解を求めるため電話をしたのだという。

韓国紙である中央日報は、日本に住む韓国・朝鮮人を紙面で「在日同胞」と呼ぶことがある(例12)。

投稿は誤り

以上から、前原氏が「在日同胞」と報道されていたとする検証対象の投稿は「誤り」と判定する。

なお、公職選挙法第10条の規定により、日本で国会などの議員や首長に立候補できるのは日本国民のみである(ただし、日本以外の国との二重国籍で立候補することや議員になることは可能(参照))。立候補の際に戸籍などの証明書類も提出するため(参照)、前原氏が衆議院議員であるということは必然的に日本国籍を持っているということになる。

(大谷友也)

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