検証対象
トランプ大統領、石破との会談で安倍総理の写真をど真ん中に掲げて日本国民にメッセージを送る
まとめサイト「Total News World」記事タイトル(2025年2月8日)
判定

これはコラージュ画像であり、会談の場に安倍氏の写真が掲げられた事実は無い。
ファクトチェック
2025年2月7日(日本時間8日未明)、日本の石破茂首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領の初めての首脳会談が大統領官邸のホワイトハウスで行われた(参照)。
まとめサイト「Total News World」は、この会談の場でトランプ氏が故・安倍晋三元首相の写真を「ど真ん中に掲げて」いたとする記事を公開。記事には海外ユーザーのX投稿を基に、会談の場の中央に安倍氏の肖像写真が掲げられているような画像が掲載されている。
この記事を取り上げた「Total News World」公式Xアカウントの投稿は、約2100リポストを獲得した(その後削除されている)。
画像はコラージュ
安倍氏はトランプ氏が以前に大統領を務めていたのと同時期の日本の首相であり、親密な間柄が知られていたが、首相辞任後の2022年7月に殺害された。トランプ氏は今回の会談でも安倍氏について「偉大な友人」として言及している(参照)。
しかし、今回の会談の場に安倍氏の写真が掲げられていたというのは事実ではない。ホワイトハウスの公式Xアカウントから投稿された画像には別の肖像画が写っており、「Total News World」の記事に掲載されているのはこの画像を使ったコラージュ画像であると考えられる。

元の肖像画はワシントン初代大統領
会談が行われたのはホワイトハウス内の大統領執務室(通称「オーバル・オフィス」)で、室内の装飾は各大統領の裁量で変更されている。
上掲の写真中央、暖炉の上の位置には、ジョー・バイデン前大統領の政権時代には第32代大統領フランクリン・ルーズベルトの肖像画が掲げられていた(参照)。トランプ氏は1月の大統領就任にあたり、これを初代大統領ジョージ・ワシントンの胸から上を描いた肖像画に取り換えた(参照1、2)。その後さらに絵が取り換えられたようで、上掲のコラージュ元の写真に写っているのは同じくワシントンを描いた別の肖像画である。
「Total News World」が投稿を引用した海外ユーザーは、直後のスレッド投稿で「ジョージ・ワシントンが許してくれるといいけど(hope george washington forgives us)」と付け加えており、元の投稿は冗談を意図したものだったと思われる。
安倍氏の写真を掲げた事実は無い
以上のように、「Total News World」に掲載されている画像はコラージュであり、トランプ氏と石破氏の会談が行われた大統領執務室に安倍氏の写真が掲げられた事実は無い。したがって、「安倍総理の写真をど真ん中に掲げ」ていたとする「Total News World」の記事は「誤り」である。
(大谷友也)