検証対象

レプリコンで2人死亡も マスコミはガン無視‼️ だから言ったじゃん と何度も言ってもこの国は 変わらないけれど、
消費生活アドバイザーを名乗るユーザーのFacebook投稿(2024年12月11日)
(※別のユーザーの画像付き投稿を引用)
判定

画像の引用元であるMeiji Seikaファルマの資料には「高拍出性心不全」の2例について、いずれも回復したと記載されている。また、その他の副反応についても死亡とは書かれていない。
ファクトチェック
「レプリコンで2人死亡」と主張
検証対象の投稿は「レプリコンで2人死亡」と、レプリコンワクチンの接種者が副反応により2人死亡したと主張している。レプリコンワクチンとは、2024年10月1日から日本で定期接種が始まった新型コロナウイルス感染症に対するワクチンである(参照1、2)。
投稿には、「副反応件数集計表」という表の画像が添付されており、投稿者が赤線で示しているように、心臓障害である「高拍出性心不全」2件が「重篤」な副反応として計上されている。
画像はワクチン副反応の調査報告書
投稿に添付されている画像は、レプリコンワクチン(商品名「コスタイベ筋注用」)を販売するMeiji Seikaファルマ株式会社が2024年12月10日に発表した資料「新型コロナウイルス感染症に対する次世代 mRNAワクチン『コスタイベ筋注用』の市販直後調査 第2回中間報告」の表と一致する。
この資料は、新しい医薬品やワクチンの販売が開始されてから6カ月間の副作用や副反応の情報を把握する「市販直後調査」の報告書であり、中間報告として「コスタイベ筋注用」の販売開始から2カ月間における副反応の集計結果がまとめられている。
このうち「高拍出性心不全」の2例は「重篤」な副反応に分類されており、「いずれも電子化された添付文書の使用上の注意から予測できない未知の副反応でした」と記載されている。
2例とも「回復」と記載
しかし、この「高拍出性心不全」の2例について、Meiji Seikaファルマの資料では、いずれも、その後「回復」したとされており、「死亡」とは書かれていない。具体的には、以下のように記載されている。
注)重篤症例として「高拍出性心不全」を2例収集し、詳細調査中です。
「新型コロナウイルス感染症に対する次世代mRNAワクチン『コスタイベ筋注用』の市販直後調査 第2回中間報告」より
1例目は、96歳女性。本剤接種 1 日後、発熱、頻呼吸、SpO2 92%を認め、発熱に伴う高拍出性心不全と診断され、利尿剤と解熱剤が投与されました。本剤接種2日後、解熱し、体調が回復しました。
2例目は、90歳女性。本剤接種 3 日後、発熱、頻拍(脈)、SpO2 85%を認め、発熱に伴う高拍出性心不全と診断され、利尿剤と解熱剤が投与されました。本剤接種6日後、解熱、SpO2の上昇と回復を認めました。
また、「非重篤」に分類されている158件についても死亡したとの記載はない。
「重篤」には「死亡」以外も含まれる
そもそも、市販直後調査における「重篤」とは、必ずしも「死亡」を意味する言葉ではない。厚生労働省の資料では、市販直後調査における「重篤」は以下のような症例と定義されている。
(1)死亡
厚生労働省医薬局「医薬品・医療用具等安全性情報 No.170」より
(2)障害
(3)死亡又は障害につながるおそれのある症例
(4)治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例
(5)(1)から(4)までに掲げる症例に準じて重篤である症例
(6)後世代における先天性の疾病又は異常
これらの症例は、法令により厚生労働大臣への報告が義務付けられている(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(薬機法施行規則)第228条の20)。
つまり、市販直後調査における「重篤」には、「死亡」だけではなく、「死亡につながるおそれのある症例」や「障害」、「治療のために入院が必要な症例」、「後世代における先天性の疾病又は異常」なども含まれており、必ずしも「死亡」を意味しない。
その後の報告書では死亡例も
なお、検証対象の投稿が行われた後にも「コスタイベ筋注用」の市販直後調査の集計は続けられており、本校執筆現在では2025年1月16日公表の第3回中間報告が最新の報告となっている。この報告では集計期間が1カ月追加されて販売開始後3カ月間となり、重篤な副反応は第2回中間報告の2例2件から7例8件に増えている。
このうち、前述の高拍出性心不全2例については変わらず、いずれも「回復」とされている。一方、死亡例として、「誤嚥性肺炎」の1例(88歳男性)および「脱水」と「尿路感染」の1例(70歳男性)の計2例が報告された。これらの症例は、いずれも「発症原因は不明であり、コスタイベによるものかは何ともいえない」とされている。また、その他にも入院後の経過について不明となっているものがあるなど、重篤症例は「いずれも詳細調査中である」とのことである。
「レプリコンで2人死亡」は誤り
検証対象の投稿はレプリコンワクチンの接種者が副反応により2人死亡したと主張している。しかし、投稿者が引用した第2回中間報告には、死亡例は報告されておらず、投稿者が赤線で示した重篤の2例も回復したとされている。よって、この主張を「誤り」と判定する。
なお、検証対象の投稿(2024年12月11日)後に公表された第3回中間報告(2025年1月16日)では、2例の死亡が報告されている。ただし、これらの死亡例は、いずれも投稿者が赤線で示した症例とは異なるものであり、発症原因もレプリコンワクチンによるものかは不明で、詳細は調査中とされている。
(景山千愛、小嶋裕一、大谷友也)